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【A評価】令和元年司法試験 民法 再現答案

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今回は、令和元年司法試験民法の再現答案です。

 

留意事項に関しては、令和元年司法試験 憲法 再現答案のはじめにをお読みください。

 

その他の再現答案は、以下のリンクからアクセスください。

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追記

 

成績の公表が遅くなり申し訳ありませんでした。以下が私の成績となります。

 

科目

評価

順位

憲法

A

118点

行政法

A

民法

A

200点

商法

A

民事訴訟法

A

刑法

A

143点

刑事訴訟法

A

労働法

 

46点

論文総合

130位代

令和元年司法試験 民法 再現答案

 

設問1

第一 甲建物の所有者

  1.  本件事故発生時点において、甲建物の所有者は誰か。建築請負契約に基づいた完成された建物は、原始的に誰に帰属するのか明らかでなく問題となる。
  2.  まず、請負契約において建物所有権の帰属先が定められている場合には、それに基づいて原始的所有者が決まる。次に、このような特約がない場合には、当事者間の合理的意思を解釈して原始的所有者を決定することになる。具体的には、請負人が、材料を自ら調達して建物を完成させた場合には、請負人の報酬債権を担保させるべきであるから、請負人が原始的所有者と解するのが、当事者間の合理的意思と言える。他方、この場合でも、注文者が報酬の全部または大部分を支払い済みである時には、報酬債権の担保の必要性は乏しいため、注文者が原始的所有者と解するのが当事者間の合理的意思に合致する。
  3.  本件について検討するに、本件契約上、建物所有者に関する特約は付されていない。そこでAB間の合理的意思解釈により、原始的所有者を確定することになる。本件では、請負人であるBが、必要な材料を全て自ら調達して、甲建物を完成させている。他方、Aは、本件事故発生時において既に請負代金の8割に相当する代金を支払っていた。そうすると、AB間において、原始的にAを甲建物の原始的所有者とする合意があっと解することが当事者間の合理的意思に合致する。
  4.  したがって、本件事故発生時における甲建物の所有者は、Aである。

第二 CのAに対する請求の当否

  1. CのAに対する請求の根拠は、工作物所有者の不法行為に基づく損害賠償請求権(民法717条1項但し書き(以下条数のみ))である。
  2. (1)「土地の工作物」とは、土地に付着する人工物またはそれと機能的同一性が認められるものをいう。甲建物は、土地に付着する人工物であるから、「土地の工作物に当たる。

(2)「設置または保存」に「瑕疵」とは、工作物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。甲建物には、必要な強度を有しない建築資材が使用されていたことから、工作物が通常有すべき安全性を欠いていたと言える。よって、「設置または保存」に「瑕疵」があったというべきである。

(3)Cは、甲建物に「設置または保存に瑕疵」があったことによる、甲建物の一部損傷・落下により、負傷し、治療費を支出している。よって、「損害」及び因果関係も認められる。

(4)甲建物の占有者であるBは、「必要は注意をした」と言えるか。

 確かに、Bが調達した材料が原因となり本件事故が発生したと言える。しかし、建築請負契約において請負人が第三者から材料を調達することが通常と解されるため、請負人としては、材料提供者の選定に過失がない限り、「必要な注意をした」と解するのが相当である。本件において、欠陥のあった建築資材は、定評のあるものであり、本件事故があるまでその欠陥は知られていなかった。そうすると、Bが、当該材料提供者を選定したことにつき過失はなかったというべきである。よって、Bは、「必要な注意をしたと言える。

(5)以上より、工作物所有者の責任は、無過失責任であるため、Aの過失の有無にかかわらず、この請求は認められる。

設問2

第一 下線部アを根拠づけるHの主張

  1. まず、DH間の本件売買契約により、Eの賃貸人たる地位が移転したと主張する。

(1)賃貸人の債務は、目的物の所有者であれば誰でもできる没個性的なものである。また、目的物の所有者と賃貸人が一致している方が賃借人に便宜である。したがって、目的物所有権の移転により、賃借人の同意なく、賃貸人たる地位は移転すると解すべきである。もっとも、賃借人の二重弁済を防ぐため、賃貸人たる地位を賃借人に対抗するためには、登記を要すると解すべきである。

(2)本件において、Hは、本件売買契約により、乙建物の所有権を取得して、また、登記も移転させている。したがって、Hは、Eに対して賃貸人たる地位を対抗することができる。

  1. 次に、未発生の債権の譲渡は許されない。許されるとしても、公序良俗に反して無効であると主張する。

(1)まず、未発生の債権は、債権発生が未確定である以上、債権譲渡の目的物足り得ないと解すべきである。

(2)仮に、債権譲渡の対象となるとしても、譲渡人の営業の自由を制約するものとして、公序良俗(90条)に反して無効と解すべきである。

第二 下線部イを根拠づけるFの主張と正当性

1 Fとしては、まず、Hの上記2に反論する

(1)未発生の債権も特定されている限りは、債権譲渡の目的となると解すべきである。債権発生のリスクは、契約責任の問題とすればよく、契約自由を尊重するべきである。

 本件について、DF間の契約において、債権は、債務者をEとする期間を平成28年9月から平成40年8月までの賃料債権として特定されている。

 よって、債権譲渡の目的物と足り得る。そして、この主張は正当である。

(2)Hの主張するように、譲渡人の営業の自由を不当に制約するものであれば、公序良俗に反して無効となる場合があるというべきである。 

  FD間の債権譲渡契約は、FのDに対する債務の弁済として行われているものであり、目的は正当と言える。また、譲渡債権の合計額は、3千万円と高額であり、また期間も長いと言えるが、債権額の範囲であり、賃料債権を弁済に充てることは、一般的であると言える。

 よって、Dの営業の自由を不当に制約するものではなく、公序良俗に反しない。

(3)以上より、本件債権譲渡は有効であり、この主張は正当である。

2 加えて、当該賃料債権についてHよりFが優先すると主張する。

(1)Dは、Fに事前の同意を得て、債権譲渡をしており、債務者対抗要件を具備している(467条1項)。そして、Hは、譲渡人の承継人であるから、第三者対抗要件を具備していなくても、この債権譲渡をHに対抗できる。

(2)以上より、下線部イのFの主張が正当である。

設問3

  1. Hは、本件債務引受契約に「錯誤」(95条)があるとして、無効主張できないか。
  2. Hは、本件債務引受契約を締結する意思について錯誤はなく、賃料債権の帰属という動機に錯誤があるに過ぎない。動機の錯誤は、同条の「錯誤」に当たるか。

(1)錯誤とは、内心的効果意思と外部的表示のずれをいうため、動機の錯誤は、原則として、「錯誤」に当たらない。ただし、動機の錯誤の場合でも表意者を保護すべきこともある。他方、取引の安全にも配慮する必要がある。そこで、動機が明治または黙字に表示され、当事者の意思解釈上、契約内容となっていた場合には、例外として「錯誤」に当たると解すべきである。

(2)本件について検討するに、本件債務引受契約は、本件売買契約及び債務免除の当事者であるDHGの三者間の協議を経て締結されたものである。そして、協議において、DGH間では、Hが、適法にEに対して賃料請求をすることができることを前提に、それぞれの利害を調整した上で、上記の法律行為が行われている。そうすると、Hに賃料債権が帰属するという動機は、明示または黙示に表示されており、かつ、HG

間の意思解釈条、契約の内容となっていたというべきである。

 よって、「錯誤」が認められる。

  1. 「要素」の錯誤と言えるか。

「要素」の錯誤とは、錯誤を知っていれば、表意者が意思表示をしなかったといえ、かつ、一般取引観念からしても、それが相当と言える場合に、認められる。

 本件において、Hとしては、自己に債権が帰属しないことを知っていれば、債務引受という自己に不利益な契約を締結しなかっただろうし、一般取引観念からしてもそれが相当と言える。

 よって、「要素」の錯誤と言える。

  1. Eに「重大な過失」がなかったと言えるか。

「重大な過失」とは、通常の注意を払っていれば、容易に気づくことができることを漫然と見過ごした場合に認められる。

 本件について、Hは、本件債権譲渡契約の当事者であるDより、当該賃料債権が譲渡されたことを知っていた。また、Fが債務者対抗要件を具備していることもDより知っていた又は知ることは容易であったと言える。そうすると、自己に賃料債権が帰属しないことは、通常の注意を払っていれば容易に気づくことができたにもかかわらず、漫然と見過ごしたと言える。

 よって、Eには、「重大な過失」が認められる。

  1. もっとも、上動機について契約の相手方であるGにも錯誤があったと解されることから、共通錯誤が認められる。そのため、重過失があっても、錯誤無効の主張は認められるというべきである。

以上

 

最後に

 

民法は、例年より解きやすかったですね。判例学習の成果が出せたように思います。

 

また、出題趣旨・採点実感を踏まえて、コメントをしたいと思います。