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【A評価】令和元年司法試験 刑法 再現答案

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今回は、令和元年司法試験刑法の再現答案です。

 

 

はじめに

 

再現率に関しては、令和元年司法試験憲法の再現答案をご覧ください

 

他の科目の再現答案に関しては、以下のリンクよりアクセスください。

www.lawstsp.com

 

追記

 

成績の公表が遅くなり申し訳ありませんでした。以下が私の成績となります。

 

科目

評価

順位

憲法

A

118点

行政法

A

民法

A

200点

商法

A

民事訴訟法

A

刑法

A

143点

刑事訴訟法

A

労働法

 

46点

論文総合

130位代

令和元年司法試験 刑法 再現答案

設問1

  1.  甲が、Aに対して「印鑑を持ってきてください」と伝えて、その隙に本件キャッシュカードの入った封筒をショルダーバッグに入れた行為について、詐欺罪(刑法246条1項(以下条数のみとする))の成否

欺もう行為(「人を欺いて」)とは、人の錯誤を惹起させて、その錯誤に基づいて、物・利益の交付行為をさせる危険性を有する行為をいう。そのため、同行為が認められるためには、少なくとも人の交付行為に向けられた行為と言えなければならない。交付行為とは、意思に基づく占有移転であるから、交付意思を有する必要がある。本件において、Aに交付意思は認められるか。

 交付意思が認められるためには、財物に対する占有を弛緩する意思だけでは足りず、外形的に何らかの物利益を移転させる意思を有することを要する。

 本件について検討するに、Aは、Xの「印鑑を持ってきてください」という発言をきっかけに、本件キャッシュカードのある玄関から居間に移動していることから、本件キャッシュカードに対する占有を弛緩させる意思は有していたと言える。しかし、それを超えて、何らかの物利益を移転させる意思までも有していたとは言えない。

 よって、Aに交付意思は認められない。

 以上より、甲の上記行為は、欺もう行為に当たらないことから、詐欺罪は成立しない。

  1. 甲の上記行為について、窃盗罪(235条)の成否

「他人の財物」とは、他人が所有する物を言うところ、本件キャッシュカード等は、Aが所有する物であるから、「他人の財物」に当たる。

「窃取」とは、占有者の意思に反する占有侵奪をいうところ、甲は、Aの意思に反して、シャルダーバッグ内という事故の支配下に移していることから、占有者の意思に反する占有侵奪がみとめられ、「窃取」に当たる。

 よって、窃盗罪が成立する。

設問2

乙が、Cに向かってナイフを示しながら「ぶっ殺すぞ」と言った行為に、事後強盗罪の共同正犯が成立しないか。

  1. 甲乙間に、事後強盗罪の共謀が認められるか。

甲は、乙に対して「こいつをなんとかして腐れ」と頼み、乙は、甲が万引を犯して捕まりそうだと考えて、助けるために上記行為に出ている。よって、両者間に、事後強盗罪を遂行する旨の合意が形成されていたと言える。

  1. 共謀に基づく実行行為は認められるか。

事後強盗罪の構造について争いがあるため問題となる。

(1)乙に、事後強盗罪の共同正犯が成立するとの立場(真正身分犯説)

事後強盗罪を「窃盗」の真正身分犯とする見解からは、65条1項より、事後強盗罪の共同正犯が成立すると説明することができる。非身分者も身分者を介して法益侵害を惹起することができるため、「共犯」には、共同正犯も含まれるからである。

(2)乙に、脅迫罪の共同正犯が成立するとの立場(不真正身分犯説)

事後強盗罪を「窃盗」の不真正身分犯とする見解からは、65条2項の適用により、脅迫罪の事後強盗罪が成立すると説明することができる。

(3)事後強盗罪を結合犯と解する見解

これに対して、本罪を身分犯と解さず「窃盗」と「暴行脅迫」の結合犯とする見解からは、承継的共同正犯を肯定して、事後強盗の共同正犯の成立を、承継的共同正犯を否定して、脅迫罪の事後強盗罪の成立を説明することができる。

(4)私見

 まず、事後強盗罪は、身分犯と解するのが相当である。「窃盗」との文言は、犯罪主体を示していると解すべきであるし、「窃盗」を実行行為の一部と捉えると、窃盗を犯した者に、広く事後強盗罪を認めることに繋がりうることになり、妥当性を欠く。そして、身分犯の中でも、真正身分と解すべきである。「窃盗」を不真正身分と解すると、本罪を暴行脅迫罪の結果的課長犯と捉えることになるが、本罪は財産犯であるのに対して、暴行脅迫は身体に対する罪であり、罪質が異なる。そうすると、「窃盗」は。犯罪の構成に不可欠な身分と解するのが相当である。

 したがって、実行行為は、暴行脅迫ということになるが、乙は、Cに対して、反抗を抑圧するに足りる脅迫をしていることから、実行行為が認められる。よって、共謀に基づく実行行為が認められる。

  1. 乙は、甲が万引きを犯したと誤信しているが、認識事実と実現事実は、同一の構成要件内で符合していることから、事後強盗罪の故意も認められる。
  2. よって、乙には、事後強盗罪の共同正犯が認められる。

設問3

  1. 丙がボトルワインを投げて、Dに頭部裂傷の障害を負わせた行為は、傷害罪の客観的構成要件を充足する。
  2. 丙に傷害罪の故意が欠けるとの立論

具体的符号説を採用することで、丙の故意を否定することが出来る。具体的符号説とは、構成要件的に重要な事実に関して、実現事実と認識事実との間で齟齬がある場合に、故意を否定する見解である。この見解を前提にすると、丙は、甲に対してボトルを投げつける認識で、甲の前にいたDにボトルが命中している。認識した人と別の人に結果が発生しているため、構成要件的重要な事実について齟齬があるため、故意が否定される。

 しかし、故意責任は反規範的態度に対する道義的非難であるところ、規範は構成要件の形式で与えられることから、構成要件の範囲内で実現事実と認識事実が符号している限り、故意は認められるはずである。したがって、本件において故意を否定することは理論的に困難である。

 また、仮に故意が否定されたとしても、丙には過失犯が成立する可能性が高く、やはり、丙の刑事責任を否定する立論としては不十分である。

  1. 丙に緊急避難が成立するとの立論

 丙の行為に緊急避難が成立すれば、違法性が阻却されるため、丙は刑事責任を脱がれることが出来る。

 丙は、Dの身体生命という「他人の生命、身体」に対する、甲の脅迫という「現在の危難」を避けるために、上記行為を行なっている。また、これが唯一の行為であったことから、「止むを得ずにした行為」と言える。さらに、Dの生命身体を守ろうとして、Dの身体を害しているが、害の均衡も認められる。そうすると、緊急避難が認められるように思える。

 もっとも、丙の行為により、甲の脅迫という現在の危難を避けることはできていない。このような場合にまで、緊急避難が認められるのか。

 緊急避難が成立する場合に、違法性が阻却されるのは、緊急避難の要件を満たす場合には、社会的相当性が認められ、違法性が阻却されるからである。そして、緊急避難としての行為に、社会的相当性が認められるには、その前提として、当該行為が、「現在の危難」の回避に寄与したことを要すると解するべきである。

 したがって、丙の行為は、「現在の危難」の回避に寄与していないため、緊急避難は成立しない。

 以上より、丙の刑事責任を否定する立論は困難である。

以上

 

最後に

去年と同様の出題形式となりました。この傾向は、来年も続くと思います。理論的理解の必要性は、格段に増しています。個人的には、刑法に関しては、問題演習をガンガンするのではなく、基本書と判例を読み込む方がいいのかなと思っています。

 

他の科目と同様、時期をみて採点実感・出題趣旨を分析して、私の再現答案のダメな点と良かった点などコメンしたいと思います。