
こんにちは、ロッポ―です
今日のテーマは「答案作成」です
予備試験の論文式試験においては、単に法的知識を記憶し、それを羅列するだけでは合格答案には到達しません。出題者は「答案をどのように構成し、どのような姿勢で論述するのか?」といった形式面にまで高い水準の能力を求めています。
本記事では、実際に公表されている複数の出題の趣旨をもとに、受験生が答案作成時に意識すべき「論文答案作成のポイント」を体系的に解説します。予備試験の合格を目指す皆さんにとって、学習方針の確認や答案のブラッシュアップに役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。



予備試験の論文式試験は法的知識を記憶し、羅列するだけでは、合格答案にはなりにくいよ!
もうワンランクアップを目指していこう!
「答案作成」で気をつけるべき9つのポイント
出題の趣旨から読み解いて「答案作成」で気をつけるべき9つのポイントを解説していきます。
1. 過不足ない分量で「簡潔に記述」する能力
多くの出題の趣旨で強調されているのが「過不足ない分量で簡潔に記述する能力」の重要性です。
これは、受験生が与えられた制限の中で、必要な情報を過不足なく的確に表現する力を有しているかを確認するための観点です。長すぎる答案は、論点が散漫になったり、時間切れを招いて他の設問に手が回らなくなる危険性があります。一方で、短すぎる答案は論述の深さに欠け、「理解が浅い」と評価されるリスクがあります。
したがって、日頃から「実際の試験に近い条件(時間・文字数)で答案を作成する」練習を積み重ね、常に分量感覚を身につけておくことが重要です。



昔のぼくは、“書けば書くほどいい答案”だと勘違いしていた時期があるんだ
でも、実際は「書ける論点ばかり手厚く書いて、問題の中核となる論点」の検討が甘くなっていたんだ
日頃から「実際の試験に近い条件(時間・文字数)で答案を作成する」練習をしておこう!
2. 論理的で「説得的」な論述
出題の趣旨では「説得的に論述する」や「自説の立場を明確に示し、説得的に展開する」といった文言が頻出しています。これは、受験生に求められているのが、「単なる知識の提示ではなく、論理に裏打ちされた説得力のある主張の構築」であることを意味しています。
以下のような「構成」を意識して答案を組み立てましょう
- 問題提起
→どのような法的問題があるかを明確にする - 論点の抽出
→具体的にどの法律上の争点が問題になるかを抽出する - 規範の提示
→適用される条文・判例・学説の立場を示す - 事実の評価と適用
→問題文の事実を丁寧に分析し、自ら定立した規範と照らし合わせて論述する - 結論の明示
→自らの立場を一貫して明確に主張する
各論点の関係性を意識し、答案全体として一貫性があるかどうかも非常に重要です。



自分の立場を明確にしながら、相手の意見も意識して論じる
これは弁護士になった今も、日々意識してることなんだよ!
3. 「正確な知識」に基づいた記述
出題の趣旨には「正確な理解を確認する」や「基本的な知識・理解を試す趣旨である」といった記述が見られます。つまり、「正確な法的知識に基づいて記述が行われているか?」が問われているのです。
例えば、「条文の要件効果を曖昧に記述」したり、「判例の結論や理由付けを誤って引用」したりした場合、その時点で答案全体の信頼性が損なわれる可能性があります。基本的な条文・判例の理解と暗記がベースにあることが前提条件です。



地味だけど、条文と判例の「正確さ」こそが、論理の土台になるんだよね
4. 問題文の事実を的確に把握し「事案に即した検討」
多くの出題趣旨において「問題文の具体的な事実関係を正確に理解し、それに即した論述ができているか」も重視しています。
単に抽象的な法理論を展開するだけでは不十分であり「本件の事例に即して」かつ「事案に照らして」の考察を加えることが求められます。事実を拾い上げ、それが規範にどのように当てはまるかを具体的に示しましょう。



問題文に“示されている事実”って、意外とヒントの宝庫なんだ!
事案分析力って、いわば“法的読解力”だと思う
5. 出題の趣旨を正確に理解し「求められていること」に応じた答案作成
出題の趣旨は、受験生が答案作成を通じて「どのような能力を示してほしいか?」という出題者からのメッセージです。したがって、問題文と併せて、出題の趣旨を丁寧に読み込むことが大前提となります。
たとえば、ある問題では「比較検討」を求めている一方で、別の問題では「自身の立場を明確にする」ことが主眼とされていることもあります。「出題の意図」を読み誤れば、どれだけ内容が正しくても評価されない可能性があるため、慎重に取り組みましょう。



“聞かれてないことに答えてしまう病”は、ぼくも昔よく発症してた…
試験官の意図を『翻訳』できたとき、答案が一段レベルアップするよ!
6. 「複数の視点」からの検討や深い考察
ある種の問題では、単一の視点ではなく「多角的な検討」や「対立する見解を踏まえた上での具体的かつ説得的な考察」が要求されます。たとえば、公法分野においては、国家と私人の利益対立や、公共の福祉と個人の自由のバランスといった、複雑な構図を分析する力が求められることがあります。
「自分ならどう考えるか?」だけでなく、「他の立場ではどう見えるか?」も踏まえて、立体的な答案を構築できるかがポイントです。



ぼくは内向型だから、一つの視点にこだわりすぎちゃうクセがあるんだ
でも、試験では“他人の視点”を取り入れることも、実力の一部!意識して練習するようにしてたよ


7. 必要に応じて「関連する判例」に言及
出題の趣旨には「〇〇判決を踏まえて検討する必要がある」など、判例に基づく検討が求められるケースも多くあります。
このような場合、該当する判例を「知っているか否か?」が問われているのではなく、「その判例の趣旨を踏まえて事案をどのように解釈・評価するか?」が試されています。
一方で、「〇〇法との関係は論じなくてよい」などの制限が設けられることもありますので、指示の読み落としに注意し、出題の範囲を正確に把握することが重要です。
8. 「自説の立場」を明確にする
「自説の立場を明確にし、説得的に論述する」という記述は、単に知識を並べるのではなく「自分はどの立場に立って、なぜそのように考えるのか?」を明示することの重要性を物語っています。
複数の見解を比較したうえで「自分はこの見解が妥当だと考える。その理由は…」という形で立場を明確にし、論理的な理由づけを行うことで、答案に説得力が増します。
9. 答案全体の「構成と表現」
最後に、答案の「構成」や「表現」も、形式面では極めて重要な要素です。以下の点を気を付けて組み立てていきましょう。
- 論理的な構成
→法的三段論法といった基本的な構成を意識し、読み手にとって分かりやすい流れを作る。 - 段落分け・見出しの工夫
→の論点ごとに段落を分け、必要に応じて見出しや接続語を活用して論理を明示。 - 正確な法的用語の使用
→口語表現や曖昧な言葉を避け、法的な意味が明確な用語を選ぶ。 - 平易で簡潔な文体
→合格答案の共通点は「読みやすい」こと。難解な表現を避け、誰が読んでも理解しやすい文章を心がける。 - 誤字・脱字のチェック
→答案完成後には必ず見直し、基本的なケアレスミスを防ぐ。
こうした細部の積み重ねが、読み手に安心感と信頼を与える答案につながります。



法的三段論法に沿った論述をするだけで、論理的で読みやすい答案になります
慣れてきた時こそ、法的三段論法に沿った論述が出来ているか検討してみよう!
【まとめ】出題の趣旨を読み解き、合格答案へつなげよう
予備試験の答案作成においては「正確な知識」や「論理的思考力」と並び、「形式面のスキル」もきわめて重要です。単に何を知っているかではなく、「どう書くか?」「どこまで書くか?」「どのように書くか?」が、合否を分ける大きな要因となり得ます。
「出題の趣旨」を丁寧に読み込み、作成者の「意図」を正確にくみ取ること。
限られた時間と分量の中で、事実に即した正確かつ説得的な論述を構築すること。
これらの力を養うために「日々の学習では、常に本番を意識した答案作成」を意識しましょう。地道な積み重ねこそが、最終的に本試験での自信となり、合格を手繰り寄せる力になります。



答案練習は、“ミニ本試験”だと思って取り組もう
たとえ1問でも、全力で、構成・論理・分量を本番と同じ目線で磨いていく…内向型でも、コツコツ型でも、合格はつかめる!


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