今回は、司法試験予備試験の刑事訴訟法の出題傾向と具体的対策について解説したいと思います。
刑事訴訟法の出題傾向
予備試験刑事訴訟法の過去の出題を以下の表で整理しています。
予備試験刑事訴訟法の出題
H30 | H29 | H28 |
所持品検査
違法収集証拠排除法則 |
現行犯逮捕の要件
訴因の特定 釈明内容が訴因を構成するか |
再逮捕再勾留
前科証拠による犯人性立証 |
H27 | H26 | H25 |
捜索差押許可上の執行時における写真撮影の性質と適法性
伝聞法則と伝聞例外 |
伝聞法則と伝聞例外
自白法則 秘密録音 証拠能力 |
起訴状における訴因の明治
求釈明と訴因 争点逸脱認定もしくは訴因変更の要否 |
H24 | H23 | |
強制捜査
おとり捜査 秘密録音 秘密録画 |
捜索差押許可上の「罪名」と「差し押さえるべき物」の各記載の適法性
「差し押さえるべき物」該当性 |
基本的に、重要論点から出題されています。論点と判例学習をしていれば十分に対応することが可能だと思います。刑事訴訟法は、得点しやすい科目だと思います。
刑事訴訟法は、初学段階では、難しく感じる科目だと思います。学説が多岐に渡り、その説明も難解で理解が難しい。もっとも、試験では事例に即した検討が出来れば十分であり、学説を大展開する必要はありません。
まずは、自説の立場から、事例を処理できるように準備しましょう。
刑事訴訟法の具体的対策
以下では、司法試験予備試験刑事訴訟法の具体的対策について解説していきたいと思います。
刑事訴訟法の論点の網羅的学習
論証集記載の論点は、すべて網羅しましょう。刑事訴訟法では、典型論点からの出題が多いですが、たまに、マイナー論点が問われることもあります。どんな論点が出題されても対応できるように、論点を網羅的に学習しましょう。
刑事訴訟法の判例学習
刑事訴訟法は、判例学習が大切な科目です。典型論点からの出題が多いため、規範定立ではあまり差がつきません。規範の当てはめで差がつく科目です。そのため、判例学習は欠かせません。
判例学習では、「事案」と「判旨」を押さえてください。刑事訴訟法の百選は、解説の質も高いため、余裕があれば「解説」も読んでおきたいところです。
刑事訴訟法の学説の勉強
平成31年司法試験刑事訴訟法では、別件逮捕・勾留の適法性の判断基準に関する学説が問われました。別件逮捕勾留の学説を押さえておかなければ解答することが困難な出題でした。
このように、自説の論証を押さえているだけでは、解答できない出題がされています。この傾向が予備試験でも反映されるかどうかは分かりませんが、受験生としては、他説も論証できるように準備しておくべきです。
例えば、無令状捜索差押の緊急処分説と相当説、訴因の特定に関する識別説と防御権説、自白法則に関する各学説、弾劾証拠に関する限定説、非限定説などを自説以外の見解も理解して憶えておくべきです。
公判分野の学習
平成31年司法試験では、「公判前整理手続終了後の訴因変更請求の可否」が問われました。後半分野に関する判例が出題されました。
公判分野の判例は、刑事実務で出題される可能性も高いので、必ず押さえおきましょう。
以下の判例は、論文対策として押さえておくべきです。
- 百選40事件(起訴状における余事記載)
- 百選52事件(必要的弁護)
- 百選54事件(公判前整理手続における証拠開示)
- 百選55事件(刑訴法316条の17と自己に不利益な供述の強要)
- 百選56事件(公判前整理手続後の訴因変更)
- 百選57事件(公判前整理手続における主張明示と被告人質問)cf新司過去問
- 百選58事件(公判前整理手続後の証拠調べ請求)
- 百選68事件(証人尋問における被害再現写真等の利用)
- 百選95事件(量刑と余罪)
- 百選96事件(無罪判決後の勾留)
以上が、司法試験予備試験の論文・刑事訴訟法編でした。
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