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2018年度予備試験 再現答案 商法

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今回は、平成30年度予備試験に最終合格した際の、商法の再現答案を公開したいと思います。

 

 

設問1

 株主Dの事実4の請求は、会社法305条(以下条数のみ)に基づくものである。甲社は、取締役会設置会社であるから(327条1項1号参照)であるから、請求の要件は、①株主総会の日の8週間前までに請求すること、②「総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は300個以上の議決権を6ヶ月前から引き続き有する株主」であることである。本件において、Dは、本件株主総会より8週間前より請求していることから、①は充足する。そして、甲社は、単元株制度を採用していることから、Dは、議決権は100個しか有していないことから、「300個以上の議決権」を有する者には当らない(303条4項参照)。もっとも、請求時において、Dは、甲社の発行株式数100万株の100分の1に当る1万株を有していたことから、「総株主の議決権の100分の1以上の議決権」を「6ヶ月前から引き続き有する株主」に該当しないか。甲社が、請求の後かつ本件株主総会前に、20万株の新株を発行していることから問題となる。

 305条が、取締役会設置会社における請求において、持株比率要件を課している趣旨は、当該株主総会に高い利害関係を有する一定の株主に限定することで、議題及び議案の要領の通知請求の濫用を防ぐことにある。そうすると、持株要件は、請求時から招集通知発送時まで維持される必要があると解すべきである。なぜなら、請求後に持株比率が低下した場合には、当該株主総会に高い利害関係を有するとはいえず、濫用的な請求である可能性があるからである。

 本件においては、新株20万株が発行されたことで、「総株主の議決権の100分の1以上の議決権」を有する者ではなくなったことから、②の要件は充足されない。

 したがって、Dの請求は、要件を充たすものではないから、甲社の対応は適法である。

設問2

  1. 丁社を代表するBが、甲社との間で、本件賃貸借契約を締結したことは、直接利益相反取引に当たる。なぜなら、Bは甲社の取締役であるにもかかわらず、丁社のために自己の名義で取引を行なっているからである。そして、甲社は、相場の2倍に相当する額の賃料を12か月に渡って、丁社に支払っていることから、1800万円(12ヶ月×150万円)の損害が発生している。

 そうすると、Bには、任務懈怠があったものと推定される(423条3項1号)。そうすると、反証がない限り、Bは甲社に対して、1800万円を賠償すべき責任を負うのが原則である。

  1.  もっとも、Bは甲社との間でいわゆる責任限定契約を締結していることから、賠償額が減額されないか。

(1)まず、428条より、責任限定契約が無効となることはない。なぜなら、Bは丁社を代表して、甲社と取引していることから、「第三者のため」といえるからある。確かに、Bは丁社の全部の持分を有していることから、丁社を実質的に支配している者であり、Bと丁社は同一視しうる。しかし、別人格である以上、法人格を否認すべき特段の事情がない限りは、別々に扱うべきである。本件においては、特段の事情はない。したがって428条は適用されない。

(2)では、責任限定契約により賠償額は減殺されるか。

 まず、Bの報酬は、600万であるから、責任限度額は、2400万円である(425条1項1号ロ)。そして、これを控除すると、賠償額はゼロとなる。

 しかし、425条は、「善意かつ重大な過失」がないことを要件としている。本件において、Bは、賃料の相場について調査することが可能であり、そのことを甲社に報告した上で、賃料を決定するべきであった。それにもかかわらず、調査報告をすることなく賃料を決定したと言える。したがって、Bには、任務懈怠について重過失があったと言うべきである。 

(3)よって、425条は適用されないことから、賠償額が減殺されることはなく、Bは1800万円を賠償する責任を負う。

以上

 

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