こんなことないですか?
刑法の罪数処理が分からない。具体的にどのように論じたら良いか分からない。
今回は、直前にこれさえ見直させば、刑法の罪数処理が出来るようになる、まとめ表を大公開します。罪数処理は、司法試験の論文式試験であれば、必ずと言っていいほど論述の必要があるテーマです。よく理解することなく論述してしまっている方も多いかと思います。そこで今回は、これだけ見直しておけば、なんとかなる「罪数処理のまとめ表」を公開させて頂きます。
私は試験の直前に毎回見直しています。
それではどうぞご査収ください。なお、正確性には、細心の注意を払っていますが、保証いたしかねますので、ご利用は自己責任でお願いいたします。
罪数論の一覧表は、この記事の後半となります。
まずは、罪数の検討手順からです。
罪数検討手順
1. 罪数が問題になったときは、まず(本来的)一罪(単純一罪、法条競合、包括一罪)が成立するか検討する 2. (本来的)一罪が成立しないときは、複数の犯罪が成立しているので、「数罪」として、①科刑上一罪(観念的競合、牽連犯)となるかを検討し、それに該当すれば一罪分の科刑をすることになるが、それに該当しない場合には、②併合罪として刑の加重することになる。 3. 最後に③かすがい現象の検討をする |
これは処理手順ですね。罪数処理をする際の思考フローです。
牽連犯 一覧表
肯定例 | 否定例 |
・ 住居侵入罪と窃盗罪、強盗罪、強姦罪、殺人罪、傷害罪、放火罪 ・ 文書偽造罪と偽造文書行使罪 ・ 偽造文書行使罪と詐欺罪 ・ 身代金目的拐取罪と要求罪 | ・ 保険金目的の放火罪と詐欺罪 ・ 殺人罪と死体遺棄罪 ・ 監禁罪と傷害罪 ・ 監禁罪と恐喝罪 ・ 監禁罪と強姦致傷 ・ 監禁罪と身代金目的拐取罪、身代金要求 |
※これ以外にもある 見つけたら付け加えること
牽連犯の処理はよく悩みますね。納得できないものもありますよね。これは覚えるしかありません。肯定例と否定例を頭に叩き込んでください。
罪数論上の重要判例
横領物の横領 |
従来、第二の横領は「不可罰的事後行為」としていいたが、これを「共罰的事後行為」に変更した。 ∵第一行為とは別個の所有権侵害を観念することができる。 |
覚せい剤取引強盗殺人未遂事件 |
混合的包括一罪 |
これらは、罪数論上の重要判例でもあります。罪数処理という視点でもう一度判例を見直しておきましょう。
かすがい現象の処理(加点事由)
<論述例> このようにかすがい現象が成立することで、科刑上一罪として処断されることになるが、かすがいとなる犯罪が存在しない場合との不均衡は、量刑において考慮すれば十分である。 |
これは、加点要素だと思います。書けなくても良いですが、書けると加点される
だろうし、抜け目がない答案となります。
ここからが罪数論の一覧となります。
罪数論 一覧
類型 |
罪数 処断数 |
説明 |
具体例 | ||
本 来的一罪 |
単純一罪 |
一罪 一罪処断 |
一個の行為が一個の構成要件に該当する場合 | ||
法条競合 |
一罪 一罪処断 |
一個の行為が複数の構成要件に該当するように見える場合 |
・ 業務上横領罪と横領罪(特別関係) ・ 殺人罪と殺人未遂罪(補充関係) ・ 業務上横領と背任罪(択一関係) | ||
包括一罪 |
一罪 一罪処断 |
一個または数個の行為を包括して一個の構成要件で評価 |
・ A宅に放火したところ、BC宅も全焼→公共の危険という一個の法益侵害→放火罪一罪 ・ Aに発砲し、衣服損傷とAの死という二つの法益侵害が発生した→衣服損傷は主たる法益に通常随伴するもの→殺人罪一罪 ・ Aを殺害しようと4ヶ月間毒殺を5回試みたが失敗したので、刺殺した→時間的近接性は全くないがAを殺すという一個の意思決定によるもの→殺人罪一罪 ・ 盗品を運搬し、保管した→罪名はなんでも良い。この場合は盗品保管罪一罪とすれば良い※「等品等関与罪」は×。これは学問上の言葉 ・ 包丁を購入して、Aを殺害→殺人予備は共罰的事前行為 ・ 窃盗犯人が盗品を保管→不可罰的事後行為 ・ 窃盗犯人が盗品を破壊→共罰的事後行為 ・ 一項詐欺罪と二項強盗→混合的包括一罪 | ||
数罪 |
科刑上一罪 |
観念的競合 |
数罪 一罪処断 |
行為の一個性に着目して科刑上一罪扱い(法的評価を離れ社会通念上1個の行為と評価される) |
・ 無免許運転と酒酔い運転(線と線)→重い方一罪 ・ 救護義務違反と報告義務違反(点と点)→重い方一罪 ・ 一個の幇助で複数の正犯 |
牽連犯 |
数罪 一罪処断 |
行為の牽連性に着目し科刑上一罪(罪質上通例手段結果の関係) |
・ 住居侵入罪と窃盗罪 ・ 文書偽造と偽造文書行使罪 ・ 身代金目的階取罪と身代金要求 etc | ||
併合罪 |
数罪 数罪処断 |
数罪であるが一定程度まとめて処分 |
・ 酒酔運転と自動車運転過失致傷∵線と点 ・ 甲地点と乙地点での速度違反∵重なりなし | ||
単純数罪 |
数罪 数罪処断 |
犯罪の個数に応じて処断する |
まずは、罪数処理のまとめ表になります。これは、私が基本書や予備校本をもとに作成したものになります。すべてではありませんが、重要なものは網羅していると考えています。
もっとも、受験生が作成したにすぎませんから、間違いを含んでいるかもしれないということに留意してください。
利用は、自己責任でお願いします。
最後に
罪数処理は、ちょっと勉強すれば確実に点を稼げる分野です。一方で、多くの受験生が直感で処理しているのではないでしょうか。受験生にとっては、コスパの良い分野と言えそうです。
あと一応、参照した基本書類を紹介しておきます(調べ物をするときは、この三冊をチェックしています)。自分にあった法律書籍を探したいのであれば、法書ログがおすすめですよ。
法書ログには、司法試験合格者はもちろん、実務家や予備試験受験生、行政書士試験合格者など様々な属性の方の口コミを確認することができます。
『択一六法』
『基本刑法』
『刑法(山口厚』
特に、「択一六法」は司法試験の勉強をしていた際のお気に入りの予備校教材です。
その他刑法関連で、読むべき本を厳選して以下でまとめておりますので是非ご覧ください。
おすすめの刑法の講座
最後におすすめの刑法の講座をご紹介したいと思います。
再三、このブログでは推奨しておりますが、私のおすすめの予備校はアガルートです。アガルートは、比較的新しい司法試験予備校ですが、最近は急成長し、今となっては、業界を代表する予備校の一つとなりました。
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