今回は、2018年度予備試験に合格答案を公開したいと思います。民法の答案です。
初めに
予備試験の成績
科目 | 評価価 |
---|---|
憲法 | C |
行政法 | B |
民法 | A |
商法 | C |
民事訴訟法 | C |
刑法 | A |
刑事訴訟法 | D |
一般教養科目 | D |
法律実務科目 | D |
順位 | 300番台 |
司法試験の成績
参考として、以下私の成績をご紹介いたします。
科目 | 評価 | 順位 |
憲法 | A | 118点 |
行政法 | A | |
民法 | A | 200点 |
商法 | A | |
民事訴訟法 | A | |
刑法 | A | 143点 |
刑事訴訟法 | A | |
労働法 | 46点 | |
論文総合 | 130位代 |
再現答案
設問1
- ①債務不履行構成
AはCに対して、債務不履行に基づく損害賠償請求(民法415条(以下条数のみ))をする。AC間には、直接契約関係がないため、Cに債務不履行の事実は認められるか。
特別な社会的接触関係に入った当事者間には、相手方の生命身体に害を加えないようにする信義則上の注意義務が認められると解すべきである。そうすると、直接契約関係がなくとも、上記関係にあり、上記義務に反したと認められる場合には、債務不履行が認められると解すべきである。
本件について検討するに、AとCは、本件家屋の解体という共通の目的に向けて、共同して作業していた。また、Aは、現場の監督者として、Cを指揮監督する地位にあった。そうすると、AとCは、特別な社会的接触関係にあったというべきであり、Aは現場監督であったことから、Cの生命身体に害を加えないようにする信義則上の注意義務があったというべきである。それにも関わらず、Aは、転落事故を防止するための、命綱や安全ネットを用意しておらず、この義務に違反したと言える。
よって、Aには、債務不履行の事実がある。
以上が、①の請求の根拠である。
- ②不法行為構成
Aは、Cに対して、不法行為に基づく損害賠償請求(715)をする。本件事故はBの過失により生じているところ、AB間には、雇用関係がないため、Aは、Bを「使用する者」(715)に当たるか。
715条の趣旨は、他人を利用して利益を拡大している者は、その他人に起因する損害についても責任を負担すべきとする報償責任にある。そうすると、当事者間に雇用関係があることまでは不要であり、実質的な指揮監督関係があれば足りるというべきである。
本件において、Aは現場監督者として、Bを指揮監督していたため、実質的な指揮監督関係は認められる。
したがって、AはBを「使用する者」と言える。
また、本件事故は、懐胎作業中に発生していることから、事業執行性の要件(「事業の執行について」)の要件も充足している。
以上が、②の請求の根拠である。
- ①と②の比較
まず、②構成を取る場合、Cより消滅時効が主張される可能性がある。不法行為の損害賠償請求の消滅時効は、「損害及び加害者を知った時から3年」で完成するところ、平成29年6月1日の時点で、不法行為発生時より三年が経過しているからである。もっとも、Aは、記憶喪失の状態にあり、本件事故の経緯を知ったのは、平成26年10月1日であったと主張していることから、この主張を前提とすれば、時効は完成していないことになる。このようにAは、かかる主張をする負担を負うことになる点で、不利と言える。
次に、②構成をとる場合、弁護士費用の一部を損害に計上することが可能と解されていることから、本件においてもAは、弁護士Eに対する弁護士費用を損害として主張することができる点で有利である。
設問2
- アについて
実質的な婚姻関係を続けている場合には、離婚の意思は認められず、離婚は無効となるのか。
離婚意思の内容は、届け出をする意思と法律上の婚姻関係を解消する意思があれば足り、実質的な婚姻関係を解消する意思までは不要と解すべきである。なぜなら、実質的な婚姻関係を解消する意思まで要するとすると、法律上の夫婦が内縁関係に戻すことが出来なくなり、このような制限を認めるべきではないからである。
したがって、CとFには、離婚意思が認められ、離婚は有効である。よって、離婚が無効であるとして、財産分与が無効となることはない。
- イについて
財産分与は、夫婦間の財産を精算する機能を有することから、詐害行為取消権(424)の対象となるか。
財産分与として不相当に過大な部分は、詐害行為として、詐害行為取消権の対象となると解すべきである。不相当な部分については、財産分与を奇貨とした財産処分行為と言えるからである。
本件について検討するに、本件建物は、婚姻後にFの協力の下に建築された者であるから、CからFに対する本件建物の所有権移転登記は相当と言えるが、本件土地については、Cが婚姻前より所有していた不動産であるから、CからFへの本件土地の所有権移転登記は、財産分与として不相当に過大と言える。
よって、本件土地の所有権移転登記については、詐害行為取消権より取り消すことが可能である。
最後に
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