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人はなぜ物を買うのか-消費者行動理論入門

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シホウ
このサイトの監修者情報
「最小限の独力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300番台、口述2桁)。翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。アガルートと登山が好き。

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今回のテーマは、人はなぜ物を買うのかです。

人が、どのようにして消費活動をするのかを研究した学問として、消費者行動論という分野があります。消費者行動は大きく、①購買→②使用→③処分を指しますが、ここのでは、①に焦点を当てて解説したいと思います。

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目次

消費者の購買意思決定プロセス

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消費者の購買プロセスを分解すると、①問題認識→②情報探索→③選択肢の評価→④選択・購買→⑤購買後の再評価、となります。

それぞれのプロセスを簡単に説明すると以下の通りです。

①問題認識

生活をする中で、理想とする状態と現実の状態とのギャップがあると、それが問題として認識されます。この問題の認識が、消費者行動の出発点となります。

②情報探索

消費者は、問題を認識すると、それを解決するために、情報の探索を始めます。

③選択肢の評価

情報探索により見つけた複数の解決策を評価して、最善の解決策を選びます。

④選択・購買

最善の選択がわかれば、購入の段階に移ります。

⑤購買後の再評価

購入した消費者は、そのサービス・商品を評価します。時には、口コミとして外部に公開されます。

問題認識について

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消費者に問題認識が生まれるには、①現実の状態と、②理想の状態を認識する必要があります。この二つの認識によって、そのギャップが問題として認識されることになります。したがって、物やサービスを提供している企業としては、まず消費者に対して、①現実の状態と②理想の状態を認識させることが大切となります。

例えば、企業が、化粧品の広告塔として綺麗な女優さんを起用するのは、ブランドイメージの向上という目的もありますが、女性の理想である「女優の姿」を消費者に認識させることで、「理想の状態」を具体的に認識させるという目的もあるでしょう。

情報探索について

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内部探索

次に、情報探索の段階について解説したいと思います。理想と現実のギャップを認識した消費者は、その解決策を探索するようになります。情報探索として、まず行うのは、内部探索です。内部探索とは、消費者が自らの知識や経験など記憶に基づき、解決策を探索することです。消費者に自社の製品やサービスを使ってもらいたい企業としては、この内部探索の段階で、消費者に再生されるのがベストです。例えば、運動を始めたい消費者が運動靴を買おうと思った場合に、自社の運動靴のブランドを想起してもらえると、その製品が購入される可能性が高まるでしょう。このように、企業としては、「自社製品やブランドを消費者に再生」してもらうことが大切となります。各社は、この「再生」をさせるために、様々なPRをしていますね。

外部探索

内部探索によっては、解決策が見つからないまたは、不十分となれば、次に行うのは、外部探索です。外部探索とは、自分以外の情報源を基に、解決策を探索することを言います。伝統的には、消費者は、まずマス媒体(広告や雑誌)から情報を摂取する傾向があると考えられていました。しかし、SNSが普及した現代では、まずマス媒体を確認する前に、早い段階で、SNSやブログを活用して情報を探索する傾向が強くなっていると言われています。企業が、消費者により身近な存在で人気があるインフルエンサーに、商品PRを依頼する背景には、このような外部探索の傾向が変わってきていることが影響しているのでしょう。

選択肢の評価

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消費者が、候補となっている選択肢を評価する場合、精度と負荷のトレードオフという現象が生じていると言われています。これは、候補選択肢の中からの選択の精度を高めようとすると、その分、情報処理の負荷が増すことを言います。逆に、精度の低い評価であれば、それだけ情報処理の負荷が小さくなります消費者は、その選択肢の重要性に鑑みて、この精度と負荷のバランスをとっていると言われています。例えば、高価品で頻繁に購入しないような商品を購入する際には、高い情報処理の負荷をかけてでも、精度の高い評価をしようとします。この現象は、経験則的に理解できるところですが、「精度と負荷のトレードオフ」というように、言語化して理解していることが大切なような気がします。

購買後の再評価

購買後の再評価という行動にも人間の心理が大きく関わっています。今回は、その中でも、重要な「認知的不協和」について解説したいと思います。

さて、ここの購買意思決定プロセスから分かるように、消費者は、購買に至るまでに、①問題の認識、②情報探索、③選択肢の評価というプロセスを経て、やっと「購買」に到るのです。このように購入に至るまでに、すでに労力を投下してしまっている消費者には、次のような心理が生まれることがあります。認知的不協和です。これは、購入したことへの後悔と購入して良かったという感情、つまり、二つの矛盾する認知を同時に抱えてい状態のことです。しかし、人間は、理想とは異なるにもかかわらず、選択に間違いはなかったと考えてしまう傾向があります。人間は一貫した存在でありたいと考える傾向が強く、自己矛盾状態を嫌うことが影響していると考えられています。この点も経験上からして、正しい分析であることが何となく分かります。想像としていた商品ではなかったければ、何とか理由をつけて自己の購買決定を正当化しようとする。これは日常的に行っている心理的解消だと思います。つまり、認知的不協和を抱いた消費者は、これを解消しようと行動するのです

この現象は、人間の心理として仕方がない面がありますが、「認知的不協和」という現象に陥っていないか自己分析を繰り返すことで、購買の意思決定の精度も高まっていくことが出来そうです。

最後に

今回は、消費者行動論についてその基礎的なところを解説してきました。商品やサービスを購入する際に、今回紹介した意思決定プロセスを思い出しながら、自己分析をすると面白いかもしれません。消費者行動論は、企業ではなく、消費者こそが理解すべき学問のような気がします。締まりが悪いですが、本日はここまです。最後までお付き合いありがとうございました。

【本日の参考文献】

中央経済社
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この記事を書いた人

働きながら個人情報保護士認定試験を勉強。試験は過去に1度受けており、その時はあと一歩のところで不合格でした。1年後にリベンジで受験し、第71回の試験で無事合格。当サイトでは、個人情報保護士等の法律系資格に関する記事を担当しています。

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