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【A評価】令和元年司法試験 行政法 再現答案

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今回は、令和元年司法試験行政法の再現答案を公開したいと思います。

 

はじめに(憲法と同じ内容です)

 

令和元年の司法試験合格者の再現答案です。再現答案の作成は、司法試験が終了した翌日から着手しました。そのため、比較的再現率は高いと思いますが、それでも再現率は60パーセントほどだと思っています。検討の視点は、ほぼ再現できていると思いますが、具体的な表現は、実際の答案とはかなり異なっていると思います。

 

また、投稿時においては、成績が分からないので、どの程度評価されているのかもわかりません。この点は、追記したいと思います。

 

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追記

 

成績の公表が遅くなり申し訳ありませんでした。以下が私の成績となります。

 

科目

評価

順位

憲法

A

118点

行政法

A

民法

A

200点

商法

A

民事訴訟法

A

刑法

A

143点

刑事訴訟法

A

労働法

 

46点

論文総合

130位代

 

令和元年司法試験 行政法 再現答案

 

設問1

 本件取消訴訟において、本件事業認定の違法性を主張することが出来るか。

 取消訴訟について出訴期間が法定されていること及び行政処分は、取消訴訟で適法に取り消されない限り、適法と扱われることに鑑みれば、行政処分の法的安定性は尊重されるべきである。そこで、原則として、違法性の承継は認められるべきではない。他方、権利救済の実効性の観点から、違法性を承継させるべき場合もある。そこで、①先行処分と後行処分の目的が同一であり、両者が結合して、初めて効果が認められるという実体的関係があり、②先行処分について、手続き保障が十分に与えられていなかったのであれば、例外として違法性の承継が認められると解するべきである。

 本件について検討するに、本件事業認定と本件権利取得裁決は、土地収用の実現という同一の目的を有する行政処分である。また、本件事業認定のみでは、土地収用を実現することはできない。そうすると、本件事業認定と本件権利取得裁決は、結合して初めて効果を認められるという関係にあると言える(①充足)。

 B県としては、仮に①が認められるとしても、②は認められないと主張するだろう。土地収用法法(以下法とする)上、事業認定がされると法26条所定の方法で告示することが義務付けられている。また、市町村長が26条の2第1項を受けた場合には、公衆の縦覧に供することが義務付けられている(法26条の2第2項)。このように、事業認定の存在は、法制度上、外部から知りうる状態に置かれていることから、②は認められないと主張する。

 確かに、法制度上、本件事業認定をAは知りうる状態にあったと言える。しかし、通常、告示を確認することは稀であり、実際にAは、本件事業認定の存在を知らなかった。また、法26の2は、利害関係人への個別通知を義務付けていないことから、必ずしも違法性の承継を認めないものとは解されない。そうすると、現実に事業認定の存在を知らなかった以上、本件事業認定について、手続き保障が十分でなかったというべきである。

 よって、①及び②を充足することから、例外的に違法性の承継が認められ、Aは、本件取消訴訟において本件事業認定の違法性を主張することが出来る。

設問2 小問1

  本件は、「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」場合に当たるか。

 「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」とは、現在の法律関係に関する訴えを提起できない場合のみならず、現在の法律関係の訴えを提起することが出来る場合であっても、無効等確認訴訟を提起する方が、紛争解決の方法として、現在の法律関係に関する訴えよりも、直裁的かつ適切と言える場合も含むと解するのが相当である。原告の権利救済に資するからである。

 本件について検討するに、B県としては、Aは、本件権利取得採決が無効であることを前提に、所有権に基づく返還請求をC市に対して、することが出来ることから、同要件を欠くと主張することが考えられる。

 確かに、Aは、C市に対する所有権に基づく返還請求という現在の法律関係に関する訴えを適法に提起することが出来る。しかし、権利取得採決に利害関係を有する者は多数いると解され、紛争を根本的に解決するには、本件権利取得採決の無効確認判決を得ることが、直鎖的かつ適切と言える。

 したがって、本件は、「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」場合に該当する。

設問2 小問2

  1. 本件事業認定は、法20条を根拠とする。法20条3号の要件を充足するか。
  2. 法20条3号が「適正かつ合理的な利用」という抽象的な文言を使用しているのは、事業認定には、土地の利用に係る専門的政策的判断を要することから、その要件認定につき、都道府県知事等に裁量を与える趣旨であるからである。
  3. もっとも、裁量にも限界がある。判断過程につき、考慮不尽、他事考慮、事実評価の合理性の明白な欠如、事実誤認などがあり、社会観念上、著しく合理性を欠く場合には、裁量権の逸脱濫用行使として違法となる解すべきである。
  4. B県は、本件道路の整備には、「道路ネットワークの形成」、「通行者の安全性の確保」および「地域の防災上の向上」という三つの利益があり、これらの利益が、道路整備に伴う弊害を上回るため、法20条3号の要件を充足すると主張している。

 そこでます「道路ネットワークの形成」の利益について検討する。確かに、B県の平成元年調査を前提とすれば、一日一万台の交通量に対処するには、道路ネットワークの形成が要請されると言える。しかし、平成22年調査では、上記の予想を大きく下回る1日3500台と修正している。このように交通量が大幅に減少していることから、道路ネットワーク形成の必要性も当初より低下しており、この利益を重視するべきではない。

 次に、「通行者の安全性の確保」について検討するに、確かに、本件土地が近隣の小学校の授業で使われることもあったことから、予想交通量が減少したとしても、道路を整備して、通行者の安全を図る必要はあると言える。他方、道路の整備による地下水への影響は十分に考慮されていない。深さ2メートル程度の掘削工事であっても、井戸が枯れたという事例があることからしても、住民の生活用水への与える影響も考えられる。そして、この点は、住民の生活に大きな影響を与えうるものであるから、通行者の安全に準じる利益として考慮するべきである。よって、この点を考慮するべきであるのに考慮していない。

 「地域の防災性の向上」の利益について検討する。確かに、本件土地周辺では、災害時の円滑な避難や消防活動等が困難とされていることから、道路整備をする必要が認められる。他方、掘削工事により、防災時の非常用水源としての機能を有する井戸が枯れる可能性もある。そうすると、道路整備により緊急車両の通行が可能となる利益と、非常用の井戸が枯れる可能性があるという不利益を比較考慮して、地域の防災性の向上の有無を判断すべきであったのに、B県は、前者の利益のみを考慮して、地域の防災上の向上に寄与すると判断しており、考慮夫人がある。

 また、そもそもB県の主張の根拠とる平成22年調査には、その正確性に疑問があるとこであり、重大な事実誤認がある可能性がある。その可能性を払拭することなく、多角的な考慮をすることなく、20条3号の要件を充足したと判断したことになる。この判断過程には、上記の検討のとおり、社会観念上著しく合理性を欠くものであり、本件事業認定は違法というべきである。

以上

 

最後に

 

また、時期をみて出題趣旨・採点実感を分析して、この答案にコメントをしたいと思います。