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書面や物を示す証人尋問のポイント【刑事訴訟法】

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今回のテーマは、書面や物を示す証人尋問です。そろそろ二回試験も気になってきましたね。私は、刑事系の対策として、受験時代にもお世話になった『入門 刑事手続法』を再読しています。『入門 刑事手続法』は、刑事訴訟の手続を素描したもので、特徴として、①根拠条文が、ページ左横に明記されている点②刑事訴訟規則までカバーしている点が挙げられます。また、白表紙教材の『プラ刑』『プロ刑』『事実認定ガイド』も読み進めています。いずれも簡潔に分かりやすく解説されているので、重宝している修習生も多いかと思います。

 

今回は、これらの書籍を参考にしつつ、書面や物を示す証人尋問について少し整理してみたいと思います。

※あくまでも修習生の備忘録です。

 

 

 

刑事裁判における証人尋問の重要性

 

証人とは、裁判所または裁判官に対して、自己の直接経験した事実またはその事実から推測した事実を供述する第三者のことを言います。また、証人の供述を一般に証言と言います。

 

証人は、証拠方法の一つですが、憲法37条2項は、「刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する」と規定しています。このことからしても、証人が、極めて重要な地位にあることが分かります。

 

実務では、①不同意となった調書に代えて、目撃者や被害者等の第三者を証人として取調請求され、証人尋問がされるケース、②弁護人が、情状証人として、被告人の保護者等の第三者を証人尋問をするケースが多いようです。

 

刑事裁判を傍聴していると分かりますが、争点事実の直接証拠が、供述証拠しかないという事案は、決して少なくありません。犯罪の成否・量刑が、証人尋問により心証形成に左右されることも珍しくなく、検察官、弁護人、裁判官の3者の腕の見せ所のようにも思います。

 

このように、刑事裁判における証人尋問は、憲法上も、実務上も、極めて重要です。

 

誘導尋問の原則的禁止

 

刑事裁判では、原則として誘導尋問が禁止されています。これは、裁判官が、証人尋問で適切に心証形成をするためです。誘導尋問によって引き出された証言では、①証人が記憶に基づいて証言をしたのか、②記憶は混同しているものの、誘導に乗って証言したのか、の区別が困難となり、心証形成を適切に行うことが難しくなります

 

とはいえ、準備的事項や争いのない事項については、積極的に誘導しても、心証形成に対して、悪影響がありません。また、争点を絞って尋問をすることが、有益なこともあります。そこで、誘導尋問の弊害が少ないと考えられる一定の場合には、例外として、誘導尋問が許されています

 

書面・物を示す証人尋問

 

書面・物を示す証人尋問には、3つの種類があります。①成立、同一性の確認(規199条の100 )、②記憶喚起(規199条の11)、③供述の明確化(規199条の12)のためのです。

 

ところで、証人尋問では、書面の朗読による証言を禁止しています。証人は、自己の体験した事実を供述することが求められているところ、書面の朗読では、証人の記憶に基づく供述とは言えないからです。証人が、書面の内容に影響を受け、記憶を補足して供述をした危険性を排除できない状態では、裁判官は、適切に心証形成をすることができません

 

上記3つの書面・物を示す証人尋問を考えるあたっても、適切な心証形成という証人尋問の趣旨・目的から考察すると、理解がしやすくなります。

 

3つの証人尋問を二つのグループに分けるとすると、①成立、同一性の確認と、それ以外の二つに分けることができます。両者は、裁判長の許可の要否の点から分けることができます。前者は、裁判長の許可が不要とされています。他方、後者は、裁判長の許可が必要とされています。

 

なぜ、①成立、同一性の確認では、裁判長の許可が不要とされ、②供述の明確化、③記憶喚起の場合は、裁判長の許可が必要とされているのでしょうか。

 

この点は、書面や物を示したことによる、証人への影響を考えてみると分かります。つまり、①成立、同一性の確認では、証人に、書面の成立や同一性について確認をするために、書面等を示すだけであり、それによって、証人の証言に影響を与えるものではありません。裁判官の心証形成にも悪影響を与えるものでもありません。そのため、裁判長の許可を不要としているのです。

 

他方、②供述の明確化、③記憶の換気の場面では、書面等の提示によって、証人に影響が出ることは、容易に想像できます。記憶が混同し、鮮明に記憶していないにもかかわらず、提示された書面に誘導され、自信満々に証言をしてしまうってことも考えられます。こうなると、裁判官も適切な心証形成が出来ません。そこで、事前に裁判長の許可を必要とすることで、書面提示の弊害を予防しています。

 

他方、証人の体験した記憶を全て言葉で説明することも難しいことも少なくなく、書面等の提示を受けて証言をしてくれた方が、心証形成が容易いことも想定されるところです。そこで、法は、裁判長の許可を条件に、②供述の明確化、③記憶の換気のために、書面等を示すことを認めています。

 

その他、上記3種類固有の制限等がありますが、基本的には、「適切な心証形成」という観点から整理すると理解しやすいと思います。この点は、割愛しますが、受験生におかれましても、一度整理されると良いと思います。証人尋問に関する小問が、出題される可能性もあります。

 

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