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【組織再編】公正価格の考え方フローチャート【会社法まとめノート】

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シホウ
このサイトの監修者情報
「最小限の独力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300番台、口述2桁)。翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。現在は弁護士として企業法務系法律事務所に所属しながら、司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。

今回は、会社法の組織再編の公正価格に関するまとめノートを公開したいと思います。

これを読めば、組織再編における公正価格の決め方がわかるようになると思います。

※私が司法試験受験前に作成したものに加筆修正を加えたものです。

※あくまでも、受験生が作成したものであり、正確性を保証するものではありません。ご利用は、自己責任でお願いします。

目次
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判例法理の整理

【ステップ1】

当該組織再編が企業価値を増加させるものか

→NO…公正価格は「ナカリセバ価格」(楽天・TBS事件)

→YES…公正価格は「シナジーによる企業価値増加期待分の分配」→【ステップ2】へ

【ステップ2】

当該組織再編は独立当事者間取引であるか

→YES…企業再編比率は公正であることが推定される→買取請求権行使時点の市場価格が「公正価格」

→NO…企業再編比率が公正であるか否かを裁判所が立ち入って審理判断する。(MBO)

当該組織再編が企業価値を増加させるものではない場合

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例えば、完全子会社を吸収分割承継会社とする吸収分割をする場合(楽天TBS事件)

【論証】

反対株主に「公正な価格」での株式買取請求権を付与した趣旨は、吸収合併等という会社組織の基礎に本質的変更をもたらす行為に反対する株主に会社からの退出の機会を与えるとともに、退出を選択した株主に、①吸収合併等がされなかったとした場合と経済的に同等の状況を確保し、さらに、②吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生じる場合には、上記株主に対してもこれを適切に分配しうるものとすることにより、反対株主の利益を保障することにある。

もっとも、吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生じない場合には、増加した企業価値の適切な分配を考慮する余地はないから、吸収合併契約等を承認する旨の株主総会の決議がされることがなければその株式が有したであろう価格(以下、ナカリゼバ価格)を「公正な価格」と定めるべきである。

そして、具体的には、当該株式買取請求がされた日におけるナカリセバ価格をいうものと解すべきである。

当該企業再編が企業価値を増加させるものであり、かつ、当該組織再編が独立当事者間で行われた場合(テクモ事件)

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【論証】

 反対株主に「公正な価格」での株式買取請求権を付与した趣旨は、吸収合併等という会社組織の基礎に本質的変更をもたらす行為に反対する株主に会社からの退出の機会を与えるとともに、退出を選択した株主に、①吸収合併等がされなかったとした場合と経済的に同等の状況を確保し、さらに、②吸収合併等によりシナジーその他の企業価値の増加が生じる場合には、上記株主に対してもこれを適切に分配しうるものとすることにより、反対株主の利益を保障することにある。

 ここで、相互に資本関係がない会社間において、株主の判断の基礎となる情報が適切に開示された上で適法に株主総会で承認されるなど一般に公正と認められる手続きにより組織再編の効力が発生した場合には、特段の事情がない限り、組織再編比率は公正なものと見るのが相当である。そして、組織再編比率が公正である場合には、組織再編比率が公表された後における市場株価は、特段の事情がない限り、公正な比率で組織再編がされることを織り込んで形成されていると見られる。そうすると、公正価格を算定するに当たって、基準日である株式買取請求がされた日における市場株価を用いることは、裁判所の合理的な最良の範囲内にある。

【コンパクト論証】

公正な価格」とは、シナジーが生じない場合には、原則として、株式買取請求がされた日におけるナカリセバ価格であり、シナジーが生じる場合には、株式移転比率が公正なものであったならば当該株式買取請求がされた日においてその株式が有していると認められる価格をいうものと解するのが相当である。

 相互に資本関係がない会社間において、一般に公正と認められる手続きにより組織再編の効力が発生した場合には、特段の事情がない限り、組織再編比率は公正なものと見るのが相当である。そして、組織再編比率が公正である場合には、組織再編比率が公表された後における市場株価は、特段の事情がない限り、公正な比率で組織再編がされることを織り込んで形成されていると見られる。そうすると、基準日である株式買取請求がされた日における市場株価を公正価格と解するのは相当である。

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この記事を書いた人

「最小限の努力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300台位、口述2桁)し、翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。現在は弁護士として企業法務系法律事務所に所属しながら、司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。

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