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正当防衛の要件一覧と論証例【まとめノート大公開】

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シホウ
このサイトの監修者情報
「最小限の独力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300番台、口述2桁)。翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。現在は弁護士として企業法務系法律事務所に所属しながら、司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。


今回は、正当防衛の要件と正当防衛の論証例をご紹介したいと思います。

正当防衛は、司法試験・予備試験いずれにおいても再頻出のテーマです。必ずマスターしておく必要があります。

司法試験予備試験応援サイトでは、予備試験合格者が当時作成していたまとめノートを基に解説記事を公開しています。もしよければ参考にしくみてください。

目次
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正当防衛の要件

正当防衛の要件を以下の表にまとめてみました。

前提論点

論点:自招侵害

故意に暴行によって侵害を触発した事案において、反撃行為に出ることが正当とされる状況における行為とは言えないとして、正当防衛の成立を否定した。

①急迫性

定義:法益の侵害が現に存在しているか、又は間近に押し迫っていること

論点:侵害の開始時期と終了時期

論点:侵害の予期と積極的加害意思

②不正の侵害

定義:違法であること

論点:対物防衛の可否

③「防衛するため」

防衛の意思:急迫不正の侵害を認識しつつ、それに対応しようとする意思

論点:偶然防衛

④「止むを得ずにした行為」

定義:反撃行為が自己又は他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること、すなわち、反撃行為が侵害に対する防衛手段として相当性を有するものであることをいう。

正当防衛の論述例

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正当防衛の論述例を下記の事案をもとにみていきましょう。

当てはめは割愛しています。

以下では、規範の論証を確認していただければ幸いです。

事案

甲がAに苛立ち足を殴打したところ、Aが右手にナイフを持って追いかけてきたことから、車に逃げ込み走り去ろうとした。しかし、Aが車にしがみつき「お前ゆるさねぇ」と叫んできたため、甲はこのままでは殺されると思い、車を発進して蛇行運転を繰り返し、Aを振り落とした。Aはこれによって全治2週間の怪我を負った。

 甲の罪責を論じよ。

論述例

上記の事案をもとに論述例をご紹介したいと思います。

甲の罪責

蛇行運転を繰り返して、Aを振り落とした行為につき殺人未遂罪が成立しないか。

(1)上記行為は殺人の実行行為に当たるか。

 実行行為とは、構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為をいう。

 本件では、割愛。

 したがって、上記行為は殺人の実行行為に当たる。

(2)甲には殺人罪の故意(38条1項)があるか。

ここで、故意とは、構成要件該当事実の認識認容である。認識がないと反対動機の形成は不可能であるし、故意犯として重く処罰するためには、犯罪実行の意思決定(認容)が必要だからである。

 本件では、割愛。

 したがって、甲には殺人罪の故意がある。

(3)Aは死亡していないことから、殺人未遂罪の構成要件に該当する。もっとも、甲はAから「逃げるため」に車を発進し蛇行運転をしたことから、正当防錆(36Ⅰ)が成立しないか。

ア.まず、Aがナイフを持って追いかけてきたのは、甲による暴行に触発されたからである。そこで、自称侵害に対する正当防衛の成否が問題となる。

正当防衛は正対不正を前提条件とするから、①侵害行為が反撃行為者の故意による行為(違法行為)に触発された、その直後における近接した場所での一連一体のものと言える場合には、②侵害行為が行為者の自傷行為の危険性を大きく超えるものであるなど特段の事情がない限り、反撃行為に出ることが正当とされる状況を欠くものとして、正当防衛は成立しないと解する。

本件では、特段の事情がある。したがって、反撃行為に出ることが正当とされる状況を欠くものではない。

イ.「急迫不正の侵害」とは、違法な侵害行為が現に存在しているか、又は間近に迫っていることをいう。本件では、Aが車にしがみついた際に、ナイフを車内に落としていることから、急迫不正の侵害が終了していないか問題となる。

侵害は、加害の意欲、再度の攻撃可能性等を考慮して、侵害が継続される恐れが認められる場合には、継続していると解する

 本件では、割愛。

ウ.「防衛するため」との文言から防衛の意思が必要であり、これは急迫不正の侵害を認識しつつ、それに対応しようとする意思で足りるとされ、攻撃の意思が並存しても良いが、専ら攻撃の意思で反撃行為に及んだ場合には、防衛の意思が否定されると解する。

 本件では、割愛。

エ.「止むを得ずにした行為」とは、防衛行為の相当性、すなわち、防衛手段として必要最小限度の行為を意味する。これは、使用された武器の対等性、行為者の身体的条件、侵害排除のための代替手段の有無などから総合的に判断される

  したがって、止むを得ずにした行為とは言えない。

(4)よって、甲の上記行為には殺人未遂罪が成立するが、過剰防衛(36Ⅱ)により任意的減免を受けうる。

まとめ

いかがでしょうか。私は、上記のように、あらかじめ論述の順番と規範の論証を準備していました。正当防衛は、再頻出テーマですので、規範を論証出来るのは当たり前です。

差がつくのは、当てはめです。当てはめが出来るように、判例の学習を怠らないようにしてください。

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「最小限の努力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300台位、口述2桁)し、翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。現在は弁護士として企業法務系法律事務所に所属しながら、司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。

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