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【A評価】令和元年司法試験 憲法 再現答案

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シホウ
このサイトの監修者情報
「最小限の独力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300番台、口述2桁)。翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。現在は弁護士として企業法務系法律事務所に所属しながら、司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。

今回は、令和元年司法試験憲法の再現答案を共有したいと思います。

目次
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はじめに

令和元年の司法試験合格者の再現答案です。再現答案の作成は、司法試験が終了した翌日から着手しました。そのため、比較的再現率は高いと思いますが、それでも再現率は60パーセントほどだと思っています。検討の視点は、ほぼ再現できていると思いますが、具体的な表現は、実際の答案とはかなり異なっています。

他、以下のような再現答案を作成しております。この記事の最後にリンクを再度つけておりますので、どうぞそちらもご確認ください。

追記

成績の公表が遅くなり申し訳ありませんでした。以下が私の成績となります。

科目

評価

順位

憲法

A

118点

行政法

A

民法

A

200点

商法

A

民事訴訟法

A

刑法

A

143点

刑事訴訟法

A

労働法

46点

論文総合

130位代

令和元年司法試験 憲法 再現答案

第一 立法措置①の文面審査

 フェイクニュース規制法(以下、法とする)6条は、「公共の利害に関する事実」について虚偽表現を流布することを禁止し、法25条は、罰則を定めている。「公共の利害に関する事実」は、過度に広汎で明確性の原則(憲法31条)に反しないか。

 不明確な表現規制は、表現を萎縮させる。そこで、萎縮的効果を有する表現規制は、明確性の原則に反して文面上違憲と解すべきである。具体的には、通常の判断能力を有する一般人が、当該具体的場合において禁止される行為か否かを法文から判断できるか否かによって決すべきである。

 本件について検討するに、確かに「公共の利害に関する事実」という表現は、幅のあるものであり、広汎な規制が及んでいると思われる。しかし、同法の目的は「社会的混乱が生じることを防止」することであるから、あらゆる公共の利害に関する事実を対象としているのではなく、その中でも社会的混乱を生じさせる恐れのあるものを規制していると解される。そして、このような限定解釈は、法の趣旨から導けるものであり、通常の判断能力を有する一般人の理解に合致するものと言える。よって、通常の判断能力を有する一般人が、当該具体的場合において禁止される行為な否かを法文から判断することができる。

 以上より、文面上違憲とはならない。

第二 立法措置②の実体審査

1 憲法21条は、「表現の自由」を保障しているところ、法6条は、公共の利害に関する事実の表現について規制していることから、表現の自由を制約している。

2 表現の自由には、表現行為を通じて人格の形成発展を図ることができるという自己実現の価値を、言論活動を通じて国政に関与するという自己統治の価値が認められる。そのため、表現の自由の保障は特に尊重されなければならない。

 さらに、法6条は、「公共の利害に関する事実」という表現内容に着目した規制であるから、その合憲性は厳格に審査するべきである。なぜなら、このような表現内容規制は、政府による表現の選別が行われている可能性があり恣意的な規制の恐れがあり、また、表現内容そのものに着目した規制であるから、制約的効果が絶大であるからである。

 さらに、北方ジャーナル事件も、公共の利害に関する出版の差止目は、原則として禁止されるべき旨判示している。これは、公共の利害に関する表現行為は、特に自己統治の価値が高いため、とりわけ尊重すべきであるという趣旨と解される。

 以上のように、法6条の規制は、表現内容規制であることに加えて、規制の対象を自己統治の価値の高いものに限定している。

 他方、法6条は、公共の利害に関する虚偽表現そのものを規制しているのではなく、その流布行為を規制しているに過ぎないので、表現内容規制であり、かつその対象を自己統治の価値の高いものに限定しているとしても、その制約的効果は、表現そのものを規制する場合より小さい。

3 よって、目的が重要で、目的と手段との間に実質的関連性が認められる場合に、合憲となると解すべきである。

 法6条の目的は、虚偽表現の流布による社会的混乱の防止にあるところ、SNSという性質上、表現の拡散が容易である。また、特に公共の利害に関する事実について虚偽の事実が拡散されると、社会的混乱は、全国に波及していく恐れがある。社会的混乱の防止という利益は、特定の集団ではなく、不特定の全国民の利益である。したがって、重要な目的というべきである。

 虚偽表現の流布を禁止すれば、拡散を防げるので、社会的混乱の防止に寄与する。また、社会的混乱の防止を確実なものにするためには、啓発活動等のみでは不十分である。流布行為を禁止する行為以外に、他に緩やかな手段はないため、手段の必要性も認められる。他方、行政処分を介することなく、いきなり罰則を科すことは相当なものとは言えない。よって、罰則規定(法25条)は不相当な手段というべきである。

4 以上より、法6条自体は、合憲であるが、法25条は違憲となり得るため、削除するべきである。

第三 立法措置②の検閲該当性

1 法9条2項は、フェイクニュース規制委員会に、特定虚偽表現の削除命令を認めているが「検閲」(憲法21条2項)に当たらないか。

2 「検閲」とは、行政権が主体となって、表現物を対象に、その内容を網羅的一般的に審査して、不適当を認めるものを、その発表前に禁止する特質を備えたものをいう

3 本件について検討するに、確かに、フェイクニュース規制委員会は、行政機関の組織であるから、行政権が主体とも思われる。しかし、同委員会は、いわゆる独立行政委員会であり、行政から独立した存在としてその地位および権限が認められている組織である。実際にも、同委員会の構成員は、内閣総理大臣により任命されることにはなっているが、その罷免事由は合理的なものに限定されており、独立性が担保されている。また、「二人以上が同一の政党に属する」ことも禁止しており、政治的中立性も確保されている。よって、同委員会は、行政機関であるものの、その実態は、公平中立的であり、裁判所に準じる組織というべきである。以上より、まず、行政権が主体とは言えない。

 さらに、法9条2項の制度は、発表後の規制であるから、発表前にその発表の禁止を目的とするものでもない。

4 よって、検閲には当たらないというべきである。

第四 立法措置②の憲法21条違法

1 法9条の削除義務と削除命令は、特定虚偽表現に当たる表現行為を規制するものであるから、憲法21条が保障する表現の自由を制約するものである。

2 立法措置①と同様に、法9条の規制は、表現内容規制であり、かつ、選挙に関連する表現であることから自己統治の価値の高い表現を対象としている。また、表現の削除をするものであり、立法措置①と異なり、制約的効果も絶大と言える。そうすると、厳格な審査基準が妥当するとも思われる。

 この点、戸別訪問禁止規定合憲事件判決は、選挙運動に関わる表現規制であるにも関わらず、いわゆる猿払基準という緩やかな基準により審査している。これは、選挙運動に関する表現規制は、単なる表現規制ではなく、選挙制度の構築の一つの要素と捉えているものと解される。つまり、選挙運動は、あらゆる言論が自由に競い合う場ではなく、国会が定めた選挙のルール内で許容されるものと解される。同判決を前提にすれば、選挙に関する表現規制である法9条の規制について、単純な表現規制と捉えるべきではなく、選挙制度の構築の問題と捉えるのが相当である。これに対して、本件の規制は、有権者側の表現行為を規制するものであるという点で、同判決と事案が異なり射程は及ばないという反論が想定される。しかし、立候補者のみならず、有権者の表現行為によって、選挙の公正が害されることもあることから、同判例の射程は本件にも及ぶと解すべきである。

3 よって、目的が正当で、目的と手段との間に合理的関連性が認められるなら、合憲と解すべきである。

4 本件について検討するに、法9条の目的は、選挙の公正の確保にあり、正当である。また、選挙の公正を確保するために、「虚偽表現であることが明白」であり、かつ「選挙の公正が著しく害されるおそれがあることが明白」な表現について削除義務・削除命令という手段を取ることは有効である。

5 したがって、目的が正当で合理的関連性も認められることから、合憲である。

第五 立法措置②の適正手続違反

1 法9条2項の削除命令は、事前手続きが不要とされているが、適正手続の原則(憲法31条)に反しないか。

2 憲法31条は刑事手続を念頭に置いた規定であるが、行政処分により権利利益が侵害されることもあるから、行政処分であるからという理由で適用が否定されるべきではない。そこで、行政行為による不利益が、行政行為の迅速性、公益という利益を上回る場合には、31条の適用が及ぶと解すべきである。そして、31条の適用がある場合には、適正な手続きが法定されていなければ、同条違反となると解すべきである。

3 本件について検討するに、削除命令を受けたSNS事業者は、表現の削除を行わなければならない。しかし、削除による損害は、法13条により免除されていることから、SNS事業者に特段の不利益はない。他方、SNS上の表現は、その性質上、拡散が容易であることから、発見後迅速に対応することが求められる。また、拡散を防止することは、公共の利益となる。よって、行政行為による不利益が、その利益を上回るとは言えず、法31条の適用はないというべきである。

4 よって、適正手続の原則に反しない。

以上

最後に

いかがでしたでしょうか。結構適当なことを書いていると思いますが、試験現場で自分なりに考えて検討した結果です。

また、出題の趣旨・採点実感を分析して、コメントをしたいと思っていますので、よろしくお願いします。

【追記】以下の記事で、出題の趣旨・採点実感を分析しています。

その他の再現答案は、以下のリンクからアクセスください。

憲法の書評

憲法書籍の口コミは、以下のサイトが参考になります。

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「最小限の努力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300台位、口述2桁)し、翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。現在は弁護士として企業法務系法律事務所に所属しながら、司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。

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