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【難関判例】泉佐野市民会館事件判決を分かりやすく解説【論述のポイント】

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シホウ
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「最小限の独力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300番台、口述2桁)。翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。アガルートと登山が好き。

▼執筆者のご紹介▼

『泉佐野市民会館事件のポイントを知りたい』

『泉佐野市民会館事件の論述のポイントは?』

『合憲限定解釈とは?』

泉佐野市民会館事件は、市民会館で集会を行なおうとした団体が使用許可申請を行ったところ、市が条例の規定を根拠に不許可とした事件です。

地方公共団体が公の施設での集会を拒否できるのはどのような場合かが問題となりました。

憲法21条では、集会の自由を保障しています。

しかし、集会は、多数の人が集まり、混雑なども予想されることから、公の施設で開催する場合でも、一定の制約を受けざるを得ません。

公の施設の管理者も、他の利用者の権利利益との調整や混乱回避のために、公の施設の利用を拒否できることがあります。

ただ、公の施設の利用を不当に拒むことは認められていません。

地方自治法244条2項にも、「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒否できない」旨が定められています。

泉佐野市は、これらの規定を踏まえて、市民会館の使用を拒否できる場合を条例で定めていましたが、この条例の規定が憲法21条と地方自治法244条に違反するのではないかが争点となりました。

泉佐野市民会館事件の問題意識をざっと整理すると、以下のとおり。
問題となった場面=地方公共団体が公の施設での集会を拒否できるのはどのような場合
具体的な争点=条例の規定が憲法21条と地方自治法244条に違反するのではないか

目次

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泉佐野市民会館事件の概要

X団体は、泉佐野市の市民会館で関西新空港反対全国総決起集会を行うために、泉佐野市のY市長に対して使用許可申請を行った。

泉佐野市の条例7条には、市民会館の使用を拒否できる場合として、

一号 公の秩序をみだすおそれがある場合

三号 その他会館の管理上支障があると認められる場合

の2点を定めていた。

ところで、X団体は、関西新空港建設工事の着手を控えて、これを激しい実力行使によって阻止する闘争方針を採っており、そのために、連続爆破事件等を起こしていた過激な組織だった。その上、X団体と対立する団体との暴力による抗争を続けていた。

そのため、Y市長は、X団体に市民会館を使用させると、不測の事態を生ずることが憂慮される上、市民会館周辺の住民の平穏な生活が脅かされるおそれがあって、公共の福祉に反すると判断し、上記条例を根拠に、X団体の使用許可申請を不許可とした。

これに対して、X団体は条例の規定が憲法21条に違反し無効であると共に、不許可処分も憲法21条と地方自治法244条に違反するとして、訴えを提起した。

泉佐野市民会館事件の判決

泉佐野市民会館事件のポイント4選を紹介させていただきます。

①集会の自由は精神的自由の一つ

最高裁は、集会の自由は精神的自由の一つであるとし、「集会の自由の制約は、基本的人権のうち精神的自由を制約するものであるため、経済的自由の制約における以上に厳格な基準の下になされなければならない」として、薬事法距離規制事件(最大判昭和50年4月30日)で示した二重の基準論を採用しました。

薬事法距離制限事件はこちらの記事が参考になります

法書ログ
薬事法距離制限事件どこよりも分かりやすく解説【論述のポイント】憲法重要判例#3 『薬事法距離制限事件の事案の概要は?』『精神的自由と経済的自由への規制の違いについて最高裁は何と言った?』『薬…

②集会の自由を規制できるのはどのような場合か?

最高裁は、条例により公の施設での集会を規制することも認められるとしています。

ただ、公の施設の管理者に自由裁量が認められるわけではなく、公共施設の種類、規模、構造、設備等に応じて、適正に管理権を行使し、公共施設としての使命を果たすことを求めています。

そして、集会の規制が認められるのは、利用の希望が競合する場合などのほか、施設をその集会のために利用させることによって、「他の基本的人権が侵害され、公共の福祉が損なわれる危険がある場合に限られる」と述べました。

その判断基準として、「集会の自由の重要性と、当該集会が開かれることによって侵害される他の基本的人権の内容や侵害の発生の危険性の程度等」を比較衡量すべきとして比較衡量論を持ち出しました。

比較衡量によって、必要かつ合理的なものと認められたのであれば、集会の自由を不当に侵害するものではないため、憲法21条に違反しないということです。

③泉佐野市の条例7条は、どう解釈すべきなのか?

泉佐野市の条例7条一号の「公の秩序をみだすおそれがある場合」という表現は、このままでは、広範な規制を認めているかのように読めるため、憲法21条に違反する恐れがあります。

そこで最高裁は、次のように限定的に解釈すべきだとしています。

市民会館における集会の自由を保障すること」と「市民会館で集会が開かれることによって、人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止すること」の重要性を比較した上で、後者が優越する場合を意味する。

また、後者の危険性の程度は、「単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である」としています。

シホウ

単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要」この判断基準は非常に重要です。言い回しを含めて暗記しておくとよいかと思います。

略すると、
公の秩序=人の生命、身体又は財産
みだすおそれがある場合=明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される

このように限定的に解釈するなら、憲法21条にも地方自治法244条にも違反しないとの考え方を示しました。

このような解釈手法を「合憲限定解釈」と言います。

合憲限定解釈とは?

憲法を頂点とする日本の法制度では、法律や条例などはすべて合憲であることが求められます。

法律や条例が合憲でない場合は、裁判所が違憲判決を下せばよいわけですが、法律や条例を制定するのは国民から選ばれた議会です。

三権分立の観点からしても、議会の法律や条例を制定する権限に対しては、敬譲が与えられるべきで、裁判所は、極力、違憲の判断を回避すべきと言えるわけです。

そこで、法律や条例を解釈する際に、ある解釈によれば違憲となっても、他の解釈を採れば合憲と判断できるのであれば、後者の解釈を採用して違憲判決を回避すべきというのが、「合憲限定解釈」と言う考え方です。

シホウ

合憲限定解釈は、憲法を勉強しているとよく登場します。
まずは、その趣旨を押さえておくとよいでしょう。

④泉佐野市民会館事件への当てはめ

最高裁は、泉佐野市民会館で集会が行われると、X団体と対立団体の衝突が起きて、構成員だけでなく、市民会館の職員、通行人、付近住民等の生命、身体又は財産が侵害されるという事態を生ずることが、「客観的事実によって具体的に明らかに予見された」と認定しました。

Y市長がX団体の市民会館使用許可申請を不許可としたのも、上記の理由に基づくものであるため、憲法21条にも地方自治法244条にも違反しないとの判決を下しています。

泉佐野市民会館事件判決の意義

泉佐野市民会館事件判決に先立って、最高裁は、成田新法事件判決(最大判平成4年7月1日)において、集会の自由に対する制約についての判断を出しています。

この事件では、多数の暴力主義的破壊活動者による集会の自由と航空機の航行の安全の確保、乗客等の生命、身体の安全の確保という公共の福祉の要請を単純に比較衡量し、公共の福祉による必要かつ合理的な制約であると判断しました。

また、成田新法にも「おそれがあると認めるとき」という表現がありましたが、これについても、「蓋然性が高いと認めるとき」と解釈すればよいとして、踏み込んだ判断を行っていませんでした。

泉佐野市民会館事件判決は、集会の自由を重視した上で、集会の自由の制約が認められる場合をより限定的に解釈した点に意義があります。

泉佐野市民会館事件判決と合わせて押さえたい判決

最高裁は泉佐野市民会館事件判決の約1年後に、同じテーマの事件に対する判決を下しています。

上尾市福祉会館事件(最判平成8年3月15日)と呼ばれる事件の判決です。

労働組合幹部の葬儀の主催者が、市福祉会館を葬儀会場として使用することの許可申請をしたところ、市は、条例で定めている「会館の管理上支障があると認められるとき」に当たるとして不許可処分を行いました。

労働組合の幹部の殺害事件が内ゲバ事件として捜査が行われているとの報道もなされており、市福祉会館で葬儀を行うと対立する者同士で混乱が生じる恐れがあると懸念したためでした。

結局、葬儀はほかの会場で行われましたが、大きな混乱はなかったようです。

そこで、主催者が市の不許可処分に対して、国家賠償請求を求めて訴えを提起した事件です。

最高裁は、市の不許可処分を違法とする判決を下しました。

まず、「会館の管理上支障があると認められるとき」とは、会館の管理上支障が生ずるとの事態が、許可権者の主観により予測されるだけでなく、「客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合」を意味すると解しています。

その上で、葬儀という性質上、主催者が集会を「平穏に行おう」としていたと認定し、それでも不許可処分を出すことができるのは、「警察の警備等によってもなお混乱を防止することができない等の特別な事情がある場合に限られる」との判断を示しました。

シホウ

泉佐野市民会館事件判決とは真逆の判決になっていますが、試験対策としては、集会の内容による違いであると押さえておくとよいでしょう。

泉佐野市民会館事件は、過激な団体による決起集会という性質から「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される」ため、不許可処分を適法とした。

一方、上尾市福祉会館事件は、葬儀という性質からして「平穏に行おう」としている以上、「特別な事情」がない限り、不許可処分は違法だと判断したわけです。

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