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【R1司法試験行政法】出題の趣旨を踏まえた行政法再現答案の分析【出題形式、出題趣旨への対応度など】

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今回は、前回に引き続き出題趣旨を踏まえた再現答案の分析をしていきます。今回は、【行政法】となります。

 

前回は、初めての試みであったこともあり、助長的だったと思うので、今回は、サクッと進めていきたいと思います。

 

 

出題形式は、概ね例年通り

 

令和元年司法試験行政法の問題は、例年と同様に、【事案】【設問】【会議録】【関係法令】から構成されていました。

 

事務処理の負担は軽減

 

ここ最近のブームであった内部基準の添付はなく、【関係法令】も土地収用法のみでした。そのため、事務処理に負担は軽減したと思います。

 

【会議録】に関しては、設問3を除けば、検討までの思考過程を整理しているだけであり、解答の誘導は少なかったように思います。他方、設問3では、解答の視点が示唆されており、ここは例年通りの出題であったと思っています。

 

関係法令も土地収用法のみだったので、近年の過去問で出題されてきたような関係法令間の関係や個別法の読み取りをする必要はなく、主として重要論点の理解と裁量判断統制という事実評価が問われたように思います。設問1でも、個別法の読み取りも必要となりますが、複数の関係法令との関係を踏まえた解釈の必要はなく、比較的取り組みやすかったように思います。

 

設問を読む前に、配点割合をチェック

 

令和元年司法試験行政法では、憲法と異なり配点割合が明示さていました。配点割合は、当該設問に割ける時間・紙面を左右する情報ですので、試験開始後設問を読む前にチェックするべきかと思います。

 

設問を丁寧に読むべき

 

行政法の問題も、設問で解答の方針が示されていました

<設問1>

Aが,B県に対して本件権利取得裁決の取消訴訟(以下「本件取消訴訟」という。)を提起した場合,Aは,本件取消訴訟において,本件事業認定の違法を主張することができるか。

→本件取消訴訟における本件事業認定の違法主張の可否を論じればいいことがわかります。そのため、答案の結論は、「主張することが出来る/出来ない」になってなければいけません。

B県が行う 反論を踏まえて,弁護士Eの立場から,検討しなさい。

→弁護士Eの立場から、反論踏まえて解答すべきことを求めていることがわかります。

ただし,行政事件訴訟法(以下「行訴法」 という。)第14条第1項及び第2項にいう「正当な理由」が認められ,本件取消訴訟が適法に提 起できることを前提としなさい

→但し書き以下で、解答の条件が提示されています。

 

<設問2(1)>

 

Aは,B県に対して本件権利取得裁決の無効確認訴訟(行訴法第3条第4項)を適法に提起す ることができるか。

→解答の対象が、本件権利取得採決の無効確認訴訟の提起の適法性であることが分かります。したがって、結論は「適法に提起できる/できない」または「…提起は、適法/違法である」とならなければいけません。

行訴法第36条の「当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提 とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないもの」という訴訟要件 に絞って,B県が行う反論を踏まえて,弁護士Eの立場から,検討しなさい。

→「当該…目的を達することができないもの」という訴訟要件に絞った検討で良いことが分かります。また、弁護士Eの立場からB県の反論を踏まえて解答することを求めていることが分かります。

<設問2(2)>

本件事業認定が法第20条第3号の要件を充足せず違法であるとのAの主張として,どのよう なものが考えられるか。

→本件事業認定が違法であるとのAの主張を提示することが求められています

B県が行う反論を踏まえて,弁護士Eの立場から,検討しなさい。

→B県の反論を踏まえて、弁護士Eの立場から検討することが求められています。

 

反論を踏まえた解答

今年の出題の特徴としては、全設問において「B県が行う反論を踏まえて」との条件が提示されています。設問で明示されている以上、無視できません。

 

 

令和元年司法試験【行政法】の出題内容

 

令和元年司法試験行政法は、過去問で出題された重要論点からの出題でした。主に以下の論点が出題されました。

 

違法性の承継

本問においては,単に違法性の承継に関する一般的な考え方を示すのみではなく,最判平成21年12月17日民集63巻10号2631頁等を参考に,法に沿って,具体的に検討することが求められている。

→規範定立だけでなく、規範の適用(当てはめ)において判例を参考にした具体的な検討を求めています。

法においては,事業認定と権利取得裁決が段階的に行われること,事業認定と権利取得裁決の目的に共通性が認められること,土地所有者らに対して様々な手続きが法によって整備されていること等を踏まえ て,事業認定と権利取得裁決の違法性の承継の有無を検討することが求められている。

→当てはめで参考にすべき事情が明らかにされています。①事業認定と権利取得裁決が段階的に行われること②事業認定と権利取得裁決の目的に共通性が認められること③土地所有者らに対して様々な手続きが法によって整備されていることを踏まえた検討が求められていたようです。

 

無効確認訴訟の補充性要件

本件事業認定やそれに基づく本件権利取得裁決に無効の瑕疵があるとすると,Aは,自らの所有権を保全するため,C市に対して,土地所有権確認請求や本件土地の移転登記の抹消登記 請求といった争点訴訟(本件権利取得裁決が無効であることを争点とする民事訴訟。行政事件訴訟法第45条)で争うことが可能と考えられる。このとき,Aが,これらの争点訴訟を提起することが可能であるとしても,それだけで,「目的を達することができない」として,無効確認訴訟を提起できるのかを論じる必要がある。

→まず、C市に対して争点訴訟を提起することができる旨を指摘する必要があります。この点は、【会議録】における弁護士Dの五つ目の発言「C市に対してどのような訴訟を提起することができるのか」で誘導されているところなので、思いつくことは難しくなかったと思われます。

争点訴訟には,無効確認訴訟の判決と異なり, 判決に拘束力が認められないこと,他方で,事業認定から1年を経過している場合には事業認定の効力が失効する(法第39条第1項)ため,拘束力が認められなくてもAの目的を達する ことはできるのではないかといったことや無効確認訴訟の判決に第三者効が認められるのか等 を踏まえて,検討することが求められる。

→その上で、争点訴訟の性質を踏まえた論述を求めています。

 

裁量処分の判断過程審査

法第20条第3号の要件は,法第1条の目的規定を参照すると,行われる事業によって増進さ れる公共の利益と,土地収用によって失われる利益の比較衡量によって判断されると考えられ るが,法第20条第3号がある程度概括的に定められていることや,公共事業に土地収用が必 要とされるかどうかについては,種々の事情を総合的に考慮した判断が伴うことから,法第2 0条第3号の要件該当性の判断には,行政庁に一定の裁量が認められると考えられる

→法20条第3号の要件裁量の認定をする必要があります。その際、①法第20条第3号がある程度概括的に定められていること及び②公共事業に土地収用が必要とされるかどうかについては、種々の事情を総合的に考慮した判断が伴うことを指摘することを求めています。 

まず,本件事業認定に関しては,本件道路の設置によって得られる利益として考えられるのは,事業認定に付された理由によると,「道路ネットワークの形成」,「通行者の安全性の確保」, 「地域防災性の向上」の3点である。

→この点は、【会議録】弁護士Eの6つ目の発言で誘導されています。

これらのうち,「道路ネットワークの形成」という利益 が生み出されることや本件道路の整備による騒音等の不利益が軽微かどうかについては,本件 事業認定においては,平成22年調査に基づいて判断がされている。Aの立場からは,平成元 年調査と比して,通行量の予測が異なる平成22年調査に基づく判断の妥当性や信頼性が論じ られるべきこととなる。また,利益衡量の対象とされているが,土地収用によって喪失する利 益として,Aの立場からは,本件土地周辺の地下水や防災用の井戸への影響,本件土地の自然 環境への影響が十分に考慮されていないのではないかという点が指摘されよう。また,小学校 への騒音を防止するために,本件道路のルートが決定されているが,その際,本件土地の自然 環境については考慮されておらず,考慮されるべき事情が考慮されていないのではないか,と いった点についても検討することが求められている。

→ここの認定は、いかに【事案】と【会議録】の情報を整理出来たかで差がついたのではないでしょうか。例年よりも情報がまとめられていたので、多くの受験生が何かしらの論述が出来たように思われます。

過去問で出題された論点は確実に習得すべき

このように、令和元年司法試験行政法は、過去問で出題された論点から出題されています。一度過去問で出題された論点は、受験生間では(応用も含めて)記憶の対象となるので、深い理解をしておく必要があります。

違法性の承継は、平成28年度設問3で出題されており、無効等確認訴訟の補充性要件も実は平成18年度設問1で出題されています。裁量統制は何度も出題されています。

 

過去問を徹底的に潰していた受験生には、取り組みやすい出題だったように思います。

 

試験的にはマイナーな論点の学習

個人的には、無効等確認訴訟の補充性要件は、試験的にはマイナー論点であったかと思います。来年以降の出題に備えて、試験的にマイナー論点にも対応できるように準備しておくべきです。

例えば、国賠法関連の論点や、委任立法関連の論点などの出題が考えられます。

 

私の再現答案の出題の趣旨への対応度

 

憲法と異なり、書くべき内容が特定されていたこともあり、憲法よりは、問題意識を捉えられていたようです。

 

今年不合格で再現答案を作成している方には、簡単でいいので出題の趣旨にどの程度のれていたのか確認してみると良いと思います。ご自身が思っている以上に、出題の趣旨に沿えてなかったはずです。

 

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再現答案に対するコメント・評価

 

それでは、憲法と同様に、私の再現答案に対して簡単にコメントして行きたいと思います。

 私の再現答案は以下から確認することが出来ます。

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違法性の承継(設問1)

 

違法性の承継は、過去問で出題されていたこともあり警戒はしていたものの、最後に出題されたのが比較的最近である平成28年だったので、個人的には意外な出題でした。

以下、引用は、私の再現答案です。

 

<規範定立>

取消訴訟について出訴期間が法定されていること及び行政処分は、取消訴訟で適法に取り消されない限り、適法と扱われることに鑑みれば、行政処分の法的安定性は尊重されるべきである。そこで、原則として、違法性の承継は認められるべきではない。他方、権利救済の実効性の観点から、違法性を承継させるべき場合もある。そこで、①先行処分と後行処分の目的が同一であり、両者が結合して、初めて効果が認められるという実体的関係があり、②先行処分について、手続き保障が十分に与えられていなかったのであれば、例外として違法性の承継が認められると解するべきである。

→論証の流れは多分これで良い。つまり、原則、違法性の承継は否定。しかし①②を満たす場合には、例外的に違法性の承継を肯定。しかし、理由づけはこれでいいのでしょうか。

 

<当てはめ>

本件について検討するに、本件事業認定と本件権利取得裁決は、土地収用の実現という同一の目的を有する行政処分である。また、本件事業認定のみでは、土地収用を実現することはできない。そうすると、本件事業認定と本件権利取得裁決は、結合して初めて効果を認められるという関係にあると言える(①充足)。

→「事業認定と権利取得裁決の目的に共通性が認められること」(出題の趣旨) に対して、一応、言及することが出来ています。

B県としては、仮に①が認められるとしても、②は認められないと主張するだろう。

→①に対する反論は特に思いつかなかったので、②の反論のみを指摘しました。また、自説→反論→再反論のように厚みをもたせた論証をする余裕もなかったので、反論を頭出しにしてから、反論批判自説という流れで論じることにしました。

土地収用法(以下法とする)上、事業認定がされると法26条所定の方法で告示することが義務付けられている。また、市町村長が26条の2第1項を受けた場合には、公衆の縦覧に供することが義務付けられている(法26条の2第2項)。このように、事業認定の存在は、法制度上、外部から知りうる状態に置かれていることから、②は認められないと主張する。

→反論の根拠として、法定の手続きを指摘しました。上記の条文の指摘はマストであると思います。

 確かに、法制度上、本件事業認定をAは知りうる状態にあったと言える。しかし、通常、告示を確認することは稀であり、実際にAは、本件事業認定の存在を知らなかった。また、法26の2は、利害関係人への個別通知を義務付けていないことから、必ずしも違法性の承継を認めないものとは解されない。そうすると、現実に事業認定の存在を知らなかった以上、本件事業認定について、手続き保障が十分でなかったというべきである。

→理由づけは弱いですが、自分なりの評価をして、手続き保障が十分ではなかったと結論づけました。

 

<結論>

よって、①及び②を充足することから、例外的に違法性の承継が認められ、Aは、本件取消訴訟において本件事業認定の違法性を主張することが出来る。

→「主張することができる」との結論にしました。

 

無効等確認訴訟の補充性要件(設問2)

<規範定立>

「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」とは、現在の法律関係に関する訴えを提起できない場合のみならず、現在の法律関係の訴えを提起することが出来る場合であっても、無効等確認訴訟を提起する方が、紛争解決の方法として、現在の法律関係に関する訴えよりも、直裁的かつ適切と言える場合も含むと解するのが相当である。原告の権利救済に資するからである。

→ここは、覚えていた論証を吐き出しました。

<当てはめ>

 本件について検討するに、B県としては、Aは、本件権利取得採決が無効であることを前提に、所有権に基づく返還請求をC市に対して、することが出来ることから、同要件を欠くと主張することが考えられる。

→ここも、反論を頭出しにしています。

 確かに、Aは、C市に対する所有権に基づく返還請求という現在の法律関係に関する訴えを適法に提起することが出来る。しかし、権利取得採決に利害関係を有する者は多数いると解され、紛争を根本的に解決するには、本件権利取得採決の無効確認判決を得ることが、直鎖的かつ適切と言える。

→出題趣旨で指摘されてるような、争点訴訟の性質からの検討をすることはできませんでした。民事訴訟法の過去の法律関係の確認の利益のロジックをここで流用して、理由づけました。

 

<結論>

 したがって、本件は、「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない」場合に該当する。

→ここは、上述したように、設問の解答としてよくなかったと思います。「よって、無効確認訴訟を適法に提起できる」とすべきだったと思います。

 

裁量処分の判断過程審査

<要件裁量>

法20条3号が「適正かつ合理的な利用」という抽象的な文言を使用しているのは、事業認定には、土地の利用に係る専門的政策的判断を要することから、その要件認定につき、都道府県知事等に裁量を与える趣旨であるからである。

→文言と処分の性質に言及できているのは良いと思うですけど、性質の方を膨らませて書けると良かったと思います。

<判断過程審査の基準>

もっとも、裁量にも限界がある。判断過程につき、考慮不尽、他事考慮、事実評価の合理性の明白な欠如、事実誤認などがあり、社会観念上、著しく合理性を欠く場合には、裁量権の逸脱濫用行使として違法となる解すべきである。

→判断過程審査の基準を定立しています。

<当てはめ>

B県は、本件道路の整備には、「道路ネットワークの形成」、「通行者の安全性の確保」および「地域の防災上の向上」という三つの利益があり、これらの利益が、道路整備に伴う弊害を上回るため、法20条3号の要件を充足すると主張している。

→これから叩くことになるB県側の主張を整理しています。

 そこでます「道路ネットワークの形成」の利益について検討する。確かに、B県の平成元年調査を前提とすれば、一日一万台の交通量に対処するには、道路ネットワークの形成が要請されると言える。しかし、平成22年調査では、上記の予想を大きく下回る1日3500台と修正している。このように交通量が大幅に減少していることから、道路ネットワーク形成の必要性も当初より低下しており、この利益を重視するべきではない。

→道路ネットワーク形成の必要性の低下を指摘しています

 次に、「通行者の安全性の確保」について検討するに、確かに、本件土地が近隣の小学校の授業で使われることもあったことから、予想交通量が減少したとしても、道路を整備して、通行者の安全を図る必要はあると言える。他方、道路の整備による地下水への影響は十分に考慮されていない。深さ2メートル程度の掘削工事であっても、井戸が枯れたという事例があることからしても、住民の生活用水への与える影響も考えられる。そして、この点は、住民の生活に大きな影響を与えうるものであるから、通行者の安全に準じる利益として考慮するべきである。よって、この点を考慮するべきであるのに考慮していない。

→井戸水の安全性と通行者の安全は、同価値であって、同価値なのに、「井戸水の安全性」を考慮していないのはダメだという方向で論じています。

 「地域の防災性の向上」の利益について検討する。確かに、本件土地周辺では、災害時の円滑な避難や消防活動等が困難とされていることから、道路整備をする必要が認められる。他方、掘削工事により、防災時の非常用水源としての機能を有する井戸が枯れる可能性もある。そうすると、道路整備により緊急車両の通行が可能となる利益と、非常用の井戸が枯れる可能性があるという不利益を比較考慮して、地域の防災性の向上の有無を判断すべきであったのに、B県は、前者の利益のみを考慮して、地域の防災上の向上に寄与すると判断しており、考慮不尽がある。

→特に思いつかなかったので、適当に論じちゃっています。

 また、そもそもB県の主張の根拠とる平成22年調査には、その正確性に疑問があるとこであり、重大な事実誤認がある可能性がある。その可能性を払拭することなく、多角的な考慮をすることなく、20条3号の要件を充足したと判断したことになる。この判断過程には、上記の検討のとおり、社会観念上著しく合理性を欠くものであり、本件事業認定は違法というべきである。

→事実誤認も指摘して違法と結論づけています。

 

受験生に対するアドバイス

 

今年の出題及び出題の趣旨を踏まえますと、行政法の対策は、これまで通り①過去問分析、②判例学習、③論点の網羅の三つを軸にすると良いと思います。

 

私の場合、①過去問分析は、アガルート の司法試験過去問解析講座を利用していました。また、②③は、このブログで何度も言及している総合講義100で対策していました。