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写真撮影・ビデオ撮影の適法性 論述例を公開【刑事訴訟法】

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シホウ
このサイトの監修者情報
「最小限の独力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300番台、口述2桁)。翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。現在は弁護士として企業法務系法律事務所に所属しながら、司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。

今回は、簡単な事例をもとに、写真撮影・ビデオ撮影の適法性について解説をしたいと思います。

※受験生時代に作成したまとめノートの抜粋であって、内容の正確性を保証するものではありません。ご利用は、自己責任でお願いします。

目次
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事例と設問

【事案】

司法警察職員Kは、犯人特定のために公道上およびパチンコ店内での被告人をビデオ撮影した。

【設問】

捜査の適法性について論じよ

論述例

1 強制処分該当性

(1)Kが公道上およびパチンコ店内で被告人をビデオ撮影した行為は「強制の処分」(刑訴法197Ⅰ但書)に該当しないか。当たるとすれば、その性質上検証令状が必要と思われるが、令状発布はされておらず、令状主義に反しうるから問題となる。

(2)ここで、「強制の処分」とは、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして、刑訴法上、特別の根拠規定がなければ許容されない手段を意味する。何故ならば、強制処分は強制処分法定主義及び令状主義という厳格な法規制に服すところ、既存の強制処分である逮捕捜索等はいずれも個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な権利利益を侵害するものであることから、そのような性質を有する捜査手段に限って厳格な法規制に服させるのが妥当だからである。

(3)本件において検討するに、パチンコ店内や公道上は通常、人が他人から容貌等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所におけるものであるから、他人から容貌を観察されない利益は、憲法の保障する重要な法的利益とは言えない。

(4)従って、強制の処分には該当しない。

2 任意捜査の限界

(1)強制の処分に該当しないとしても、本件ビデオ撮影は、みだりに容貌等を撮影されない利益を制約するものだから、比例原則の適用を受ける。そこで、ビデオ撮影が①犯人であることの合理的な理由が認められる者について、②(捜査目的を実現するために)必要な範囲において、③相当な方法によって行われたものであれば、任意捜査として適法と解すべきである

(2)本件について検討するに、まず、捜査機関においてXが犯人である疑いを持つ合理的な理由が存在していたものと認められる(①)。次に、防犯ビデオに写っていた人物と被告人が同一であるかを確認することは、強盗殺人という重大な事件を解明するために必要な捜査であるし、防犯ビデオに写っていた人物と被告人が同一であるかを確認するために、公道上ないしパチンコ店内で撮影したものであり、捜査目的を実現するために必要な範囲での撮影と言える(②)。さらに、各撮影行為は

通常、人が他人から容貌等を観察されること自体は受忍せざるを得ない場所における撮影であるし、その撮影時間は短時間であったし、パチンコ店の店長の承諾も得ていたことから、相当な方法によって行われたと解するのが相当である(③)。

(3)従って、任意捜査として適法である。

コメント

本判決は、緊急性についてなんら言及していません。このことから、ビデオ撮影については緊急性がなくとも、任意捜査として適法となりうると理解して良いと思います。

ただし、問題文上、緊急性を基礎付ける事実があれば、積極的に認定すると良いでしょう。なぜなら、当該捜査手段を行う緊急性があることは、捜査手段を行う必要性を基礎づけるからです。

「必要な範囲において」という要件には、当然、当該撮影をすることの必要性を前提としていると思われますことから、捜査の必要性についても認定すべきだと思います。その上で、操作目的を実現するために必要な範囲かを認定します。

例えば、犯人の同一性を確認することができる程度の撮影ができたにもかかわらず、撮影を辞めることなく継続する場合には、「必要な範囲において」とは評価できないでしょう。もちろん、相当な方法によってとも言えないでしょう。

ポイントは、判例は、緊急性に言及していないということです。

以上です。

刑事訴訟法に関しての解説をしているので、興味があれば是非ご覧ください。

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この記事を書いた人

「最小限の努力で最大の成果」を理念に司法試験、予備試験に合格するための勉強法を研究し、予備試験に合格(論文300台位、口述2桁)し、翌年1発で司法試験に合格(総合順位100番台)。現在は弁護士として企業法務系法律事務所に所属しながら、司法試験、予備試験に合格するためのノウハウを発信する。

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